ブレーキパックの特徴
インダクションモーター、レバーシブルモーター、電磁ブレーキ付モーターを短時間に停止させることができる瞬時停止用制御回路です。
特徴
瞬時停止が可能
電子ブレーキでモーターを瞬時停止させます。ブレーキ力が大きいため、モーター単体の場合には約0.1秒で瞬時に停止させ、オーバーラン量も1~1.5回転以下となります。制動電流は約0.4秒間モーターに流れますが、その後、モーターは自動的に電源から遮断されます。(保持力はありません。)
長寿命・簡単結線
電流による電子ブレーキですから、機械的な電磁ブレーキのような摩耗部分がなく長寿命。モーターのインチング(寸動)動作などの用途に最適です。
SB50Wは無接点タイプのためパワーリレーが不要です。結線も簡単でメンテナンス回数の削減にもつながります。
電子ブレーキ・電磁ブレーキ連動
SB50Wは、電磁ブレーキ付モーターと組み合わせて使用することにより、電子ブレーキと電磁ブレーキを連動させ、瞬時停止後、自動的に負荷を保持することができます。瞬時停止後に負荷保持が必要な用途に最適です。
機種紹介
SB50W(規格対応、無接点タイプ)
瞬時停止・正逆運転・電磁ブレーキ制御、さらにサーマルプロテクタオープン検出機能を搭載。
出力1W~90Wのインダクションモーター、レバーシブルモーター、電磁ブレーキ付モーター、防塵・防水モーターに使用できます。
機能一覧
タイプ | 電源電圧 | 瞬時停止 | 無接点 制御 |
正逆運転 制御 |
電磁ブレーキ 制御 |
サーマルプロテクタ オープン検出機能 |
海外規格 認定品 |
適用モーター |
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SB50W | 単相100-230V | ● | ● | ● | ● | ● | ● | インダクションモーター: 1W~90W レバーシブルモーター: 1W~90W 電磁ブレーキ付モーター: 6W~90W 防塵・防水モーター: 25W~90W |
ブレーキパックの特性
制動特性(参考値)の見方
ブレーキパックは、モーターを瞬時停止させる安定した制動特性を持っています。制動特性は負荷慣性モーメントに対するオーバーランの値を示した制動曲線で表します。
制動時間は4n/f秒以下です。
n:オーバーラン[回転]、f:電源周波数[Hz]
たとえば、25WのインダクションモーターとSB50Wを使用し、J=0.25[×10-4kg·m2]の慣性モーメントを持つ負荷を止めるとき、電源周波数50Hzでオーバーランは約1.25回転、制動時間は約0.1秒となります。ギヤヘッドを使用して減速した場合は、ギヤヘッド軸の慣性モーメントをモーター軸に換算して制動特性曲線を見ます。
ギヤヘッド軸慣性モーメントをモーター軸に換算する場合は、以下の式によります。
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JM
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モーター軸に換算した負荷慣性モーメント
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JG
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ギヤヘッド軸での負荷慣性モーメント
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i
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ギヤヘッドの減速比
ブレーキパック制動特性例
制動特性曲線はオーバーランの平均値を示していますので、参考値として見てください。
ブレーキパックの停止精度
ブレーキパックを使用してモーターに制動をかけたときの停止位置誤差(停止位置のばらつき)は、下図のようになります。これは同一条件で500回制動を繰り返したときのオーバーランの分布となり、このばらつきが生じる原因は制動をおこなうためにスイッチを切り替えたときの電源位相の関係で、最大1サイクル(電源周波数)の遅れと、初期制動力にばらつきがあるためです。下図で中間が下がっているのは、ステーターとローターのスロット位置関係によるものです。
ヒューズの容量
ブレーキパックを使用してモーターの瞬時停止をおこなった場合、約0.4秒間モーターには大きな制動電流が流れます。したがって、電源ラインにヒューズを接続するときには、使用モーターの制動電流値(各ブレーキパックの「適用モーター仕様」に記載されています)を参考に、適切な容量のヒューズを備えてください。
その他のブレーキモーターについて
ブレーキパック以外にも、用途に合わせたブレーキモーターをご用意しています。
ブレーキモーターの使い分け
停止精度から選ぶ
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- 超低速シンクロナスモーターは、電源を切るだけで10°以内での停止が可能です。
使用頻度から選ぶ
ご注意
- ●
- 使用サイクルの数値は、ブレーキの応答性から算出した値です。この値は最大値であり、この頻度で連続してブレーキ操作をおこなえるわけではありません。
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- 実際にお使いになるときには、モーターの温度上昇を考慮して、モーターケース表面温度が90℃以下となるような条件でお使いください。
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- 超低速シンクロナスモーターは、モーター許容慣性負荷以内であれば電源周波数の1.5サイクルでの起動・停止・正逆運転が可能です。