ステッピングモーター 選定計算編
5相ステッピングモーターRKIIシリーズの選定を例として、ステッピングモーターの選定計算手順を説明します。
3-3. 負荷トルクの算出
駆動機構の条件をもとに、負荷トルクを算出します。
負荷トルクとは、駆動機構の接触部分に生じる摩擦抵抗に対して必要なトルクです。
負荷トルクの値は、必要トルクを算出に使用します。
負荷トルク(TL)の求め方
- ・
- ボールねじ駆動の計算式
- ・
- タイミングベルト・プーリー駆動の計算式
- ※
-
インデックステーブル駆動では、摩擦抵抗が微小のため、負荷トルクの算出は省略します。(0とする)
インデックステーブル駆動の機構仕様例で選定を進める場合は、3-4. 負荷慣性モーメントの算出に進んでください。
- ※
- その他の駆動方法における負荷トルクの計算式については、技術資料に掲載しています。
負荷トルクの算出には、運転方向荷重(F)の計算が必要です。
傾斜角αが存在する場合は、テーブルとワークの総重量(m)や
重力加速度(g)を考慮してください。
傾斜がある場合でも計算できるよう、三角関数を用いています。
傾斜角が水平、または垂直の場合は、右の表にある値を代入し、計算してください。
参 考 |
水平駆動(α = 0°) | sinα = 0 |
---|---|---|
cosα = 1 | ||
垂直駆動(α = 90°) | sinα = 1 | |
cosα = 0 |
さらに、ボールねじ機構を使用する場合、運転方向荷重(F)の算出のほかに、予圧荷重(F0)の計算が必要です。
予圧荷重は、一般的に以下の値が目安とされています。(※ 詳しい値は、ボールねじメーカーへお問い合わせください。)
- F
- : 運転方向荷重 [N]
- FA
- : 外力 [N]
- F0
- : 予圧荷重 [N]
- µ0
- : 予圧ナットの摩擦係数
- µ
- : 摺動面の摩擦係数
- η
- : 効率
- m
- : ワークとテーブルの総重量 [kg]
- α
- : 傾斜角度 [°]
- i
- : 外部減速比 (外部減速がない場合は、i = 1)
- PB
- : モーター1回転あたりの移動量 [m/rev]
- D
- : 最終段プーリ径 [m]
- g
- : 重力加速度 [m/s^2] (= 9.807 [m/s2])
※ 摩擦係数は、ガイドの有無によって値が異なります。以下の値をご参考にしてください。
ガイド有 | 摩擦係数 : 0.05 ~ 0.1 | ガイド無 | 摩擦係数 : 0.1 ~ 0.3 |
---|---|---|---|
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負荷トルクの計算例
- 手順
- ① 運転方向荷重を求める
- ② 予圧荷重を求める ※ ボールねじ駆動のみ
- ③ 負荷トルクを求める
運転方向荷重(F)を求める
機構条件をもとに、運転方向荷重(F)を求めます。
- FA (外力) : 0 [N]
- m (テーブルとワークの総重量) : 27.5 [kg]
- g (重力加速度) : 9.807 [m/s2]
- α (傾斜角度) : 0 [°]
- µ (摺動面の摩擦係数) : 0.05
予圧荷重(F0)を求める
運転方向荷重(F)の値をもとに、予圧荷重(F0)を求めます。
負荷トルク(TL)を求める
機構条件と、運転方向荷重(F)・予圧荷重(F0)の値をもとに、負荷トルク(TL)を求めます。
- PB(ボールねじのリード) : 20 [mm]
- µ0 (予圧ナットの摩擦係数) : 0.3
- η (効率) : 0.9
運転方向荷重(F)を求める
機構条件をもとに、運転方向荷重(F)を求めます。
- FA (外力) : 0 [N]
- m (テーブルとワークの総重量) : 3.5 [kg]
- g (重力加速度) : 9.807 [m/s2]
- α (傾斜角度) : 0 [°]
- µ (摺動面の摩擦係数) : 0.05
負荷トルク(TL)を求める
機構条件と、運転方向荷重(F)の値をもとに、負荷トルク(TL)を求めます。
- D (プーリーの直径) : 31.85 ×10-3 [m/rev]
- η (効率) : 0.9
次のページでは、装置の負荷慣性モーメントを求めます。
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