ACモーターの停止精度ってどれくらい?

おしえて!照代さん
おしえて!照代さん
  • 学くん

    照代さん、ちょっといいですか…。

  • 照代さん

    どうしたの?学くん。また何かやったのね?

  • 学くん

    何もしてませんよ~!
    お客様から「ベルトコンベヤの停止精度を良くしたい」という相談を受けたんです。停止精度といったらステッピングモーターかサーボモーター、と思って紹介したんですが、「今使っているACモーターのシステム構成を大きく変えたくない」と言われてしまって。

  • 照代さん

    ACモーターを瞬時停止できるブレーキパックはご紹介したの?

  • 学くん

    もちろんです。ブレーキパックを使うとオーバーランはモーター軸で1~1.5回転に抑えられるんですよね。

    掲載記事はこちら

    でもセンサで停止させたとき、繰り返しのバラツキがどのくらいかわからなくて…。
    ベルトコンベヤ上でのバラツキは±5mmが希望です。

    機構図 : ベルトコンベヤ
    機構図:ベルトコンベヤ
  • 照代さん

    それなら、このグラフを見てみて。ブレーキパックで瞬時停止させた場合のオーバーランのバラツキを表したものよ。
    負荷慣性モーメントが大きくなるとオーバーランも増えることがわかるわね。

    インダクションモーターの制動特性(参考値)
    出力 : 6W、電圧 : AC100V、周波数 : 60Hz
    インダクションモーターの制動特性(参考値)
    • ※ 製品によって特性は異なります。負荷慣性モーメントのみ考慮したデータのため、摩擦負荷がある場合オーバーランは小さくなります。
  • 学くん

    なるほど!以前教えてもらったモーター軸のオーバーランが約1~1.5回転というのは、負荷慣性モーメントの違いによるバラツキを考慮した値だったんですね。

  • 照代さん

    そういうことになるわね。では今回のベルトコンベヤのオーバーランとバラツキはどのくらいかわかる?

  • 学くん

    ちょっと計算してみます。

    オーバーラン
  • 学くん

    オーバーランは2.26mmでバラツキは±0.4mmですね。

  • 照代さん

    成長したわね、学くん。そのとおりよ。

  • 学くん

    えっへん!それにしても、ACモーターでもバラツキはこんなに小さくできるんですね。オーバーランはセンサの位置で調整すれば実質バラツキだけになりますね。計算してみて良くわかりました。

  • 照代さん

    厳密に言えばその他にも、プログラマブルコントローラのスキャンタイムやギヤヘッドのバックラッシも考える必要があるわね。
    ギヤヘッドのバックラッシは約1~2°だから、例えば2°(0.0056回転)とすると、60mm×3.14×0.0056回転=1.05mmもバラツキとして考慮したほうがよさそうね。
    それと、今回は減速比100だからオーバーランのバラツキも小さいけど、低減速比だとバラツキが大きくなるから注意が必要ね。
    より正確に位置決めしたければ、やっぱり位置制御モーターを選ぶほうがいいわね。

  • 学くん

    わかりました。今回はACモーターで十分そうなので、さっそくお客様に紹介してきます!

  • 照代さん

    ちょっと待って、学くん!合わせてACスピードコントロールモーターも紹介してきてね。

  • 学くん

    もちろんです!DSCシリーズだと瞬時停止だけじゃなく、速度制御や4速運転、速度のリアルタイムモニタやアラーム出力など、小型で機能が充実した製品ですからね。
    ACモーターって意外とすごいですね。あらためて見直しました!

  • 2020年4月13日 最新の情報に更新しました。

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