減速比が大きくなるとモータートルクも大きくなりますか?トルクを求める計算式って?
このコラムでは、ギヤヘッド取付時のモーターの出力トルクの考え方について、計算式をまじえてご紹介します。
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だって照代さん、この荷物、本当に重いんですよ~。コンベヤで運べたらいいのになぁ。ギヤヘッドでトルクアップさせれば、運べるんじゃないかなぁ?だって、減速比が大きくなれば、出力トルクも大きくなるんですよね?
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ギヤヘッド取付時の出力トルクを求める計算式
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確か、ギヤヘッド取付時の許容トルクは以下計算式で求めることができますよね。
Tg=Tm×i×η
Tg:ギヤヘッド出力軸での出力トルク
Tm:モータートルク
i:ギヤヘッドの減速比
η:伝達効率
例えば、インダクションモーター「4IK25GN-AW2J」とそれに組み合わせるギヤヘッド「4GN180K」で考えると、
Tm :205mN・m 〈50Hzの場合〉
η:66%
ですよね。
だから、その数字を上の計算式に当てはめると、出力トルクは約24N・mになると思います。
Tg=0.205×180×0.66=24.354N・m
つまり、ギヤヘッドの減速比(i)が高いほどトルクもそれだけ出るっていうことになるんですよね?
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そうね。でも、学くん!必ずしも、計算上の値のトルクがかけられるというわけではないの。実際には、ギヤヘッドの許容トルクが決まっていて、負荷トルクには上限があるのよ。
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許容トルクの考え方
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ギヤヘッドの中には歯車や、軸受などが使われているのだけれど、その材質や大きさなどから、どうしても機械的な強度に限界がでてきてしまうの。それを踏まえて、許容トルクの値を決定しているのよ。
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ふーん。じゃあ、許容トルク以上のトルクをかけてしまったらどうなってしまうんですか?
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ギヤヘッドの設計では、機械的強度を最大許容トルクの1.5~3倍程度にとっているの。だから、短時間の過負荷で破損することはほとんどないけど、使用頻度と時間によっては寿命にかなりの影響を及ぼすことになるのよ。だから、最大許容トルクを超えてのご使用はおすすめできないわね。
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そっかぁー。じゃあ、「4IK25GN-AW2J」と「4GN180K」の場合の最大許容トルクは、8.0N・mですよね。
だから、その範囲内で使えば、寿命的にも有利ということですね。
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そういうこと!
あらっ!そういえば、学くん、コンベヤをモーターで動かして荷物を運ぶんだったっけ!?
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そんなの冗談にきまってるじゃないですか!いじめないでくださいよー!
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今回のポイント
ギヤヘッド取付時の出力トルク
モーターの出力トルクはギヤヘッドの減速比に比例して大きくなる。
許容トルクの考え方
ギヤヘッド取付時の出力トルクは、モーターのトルク×減速比×伝達効率で求めることができる。
寿命に影響するため、仕様で決められている最大許容トルク以上で使うことはおすすめできない。