トルクモーターの特徴

トルクモーターは、大きな起動トルクと垂下特性を持ち、回転速度―トルク特性の全域、特に低速および拘束時での安定した運転が得られるモーターです。この特徴を活かし、巻き取りや張力用のモーターとして幅広い用途でご使用いただけます。

特徴

モーターへの印加電圧を変えるだけで、トルク調整ができます

トルクモーターは大きな起動トルクを持ち、低速時にはトルクが高く、高速時にはトルクが低い特性(垂下特性)を持ちます。
モーターのトルクは印加する電圧の二乗に比例して変化します。
そのため、負荷や印加電圧が変化すると回転速度も変わります。

モーターへの印加電圧を変えるだけで、トルク調整ができます

ワークをたるませない。簡易的な巻き取り制御に

連続して一定速度で出てくるものを定張力で巻き取る場合、巻枠の径が2倍になればトルクは2倍で速度は半分になる、という関係が必要です。トルクモーターは、その関係に近い垂下特性を有しています。そのため、巻き取りの用途で幅広く使われています。

巻き取り制御

細やかな調整で適切なテンションを保つ。巻き出しのブレーキに

メンテナンス不要・巻き出しのブレーキとしても最適

トルクモーターはモーターの回転方向に対し、外力などで逆方向に回されるとブレーキ力を得ることができます。ワークの巻き出し側にトルクモーターを使用することで、適切なテンションを保ちながら巻き取りを実現できます。
また、磨耗しないため、ブレーキのメンテナンスが不要です。

  • ブレーキ方向と回転方向
  • モーターを巻き取り方向と逆回転させる

回転速度―トルク特性の全域で使用することができ、拘束運転もおこなえます

トルクモーターは、インダクションモーターやレバーシブルモーターと異なり、拘束状態または拘束に近い低速運転でも、安定したトルクが得られるように設計されています。
そのため、物を押し付けるなど静止トルクが必要な用途や、工程の終わりに拘束状態になるような負荷の駆動に適しています。

ご注意

拘束運転に使用する場合は出力トルクが非常に大きくなります。ギヤヘッド許容トルクを超えないようにしてください。また、当て止めは絶対にしないでください。当て止めをすると、その衝撃によりギヤヘッドが壊れてしまう恐れがあります。

当て止めは絶対にしないでください

用途例

トルクモーターの特徴を活かした代表的な用途例をご紹介します。

巻き取り

トルクモーターの垂下特性は、一定速度・一定張力で巻き取る用途に適しています。

トルクモーターによる巻き取り運転

巻き取り

張力調整(ブレーキ)

トルクモーターのブレーキ力を利用して、巻き取り時に材料のたるみを防ぐ張力用に使用できます。

張力(ブレーキ)
  • 巻き取り用途、張力(ブレーキ)用途で使用する場合の選定方法については、以下のページで詳しく説明しています。
    選定事例-巻き取り機構

押し当て

拘束状態や、拘束に近い低速運転でも安定したトルクが得られるため、押し当て運転に適しています。

押し当て

締め付け

拘束状態や、拘束に近い低速運転でも安定したトルクが得られるため、ねじなどを締め付ける用途に適しています。

締め付け
  • ※ 拘束状態では出力トルクが大きくなります。ギヤヘッドやリニアヘッドを使用する場合には、当て止めは絶対におこなわないでください。
    当て止めをすると、衝撃によりギヤヘッドやリニアヘッドが破損する恐れがあります。