選定計算 ファンモーターの場合 選定例―制御盤の換気冷却―

制御盤の仕様

項目 記号 仕様
設置環境 一般的な工場
制御盤 サイズ W
H
D
横   700mm
高さ  1000mm
奥行き 400mm
表面積 S 2.37m2
材質 SPCC
熱通過率 U 5W/(m2・K)
許容温度上昇 ΔT 20℃
装置周囲温度  T1 25℃
内部許容温度 T2 45℃
総発熱量 Q 450W
電源 50Hz AC100V

選定に必要な値の算出

  • 装置の有効表面積(放熱面積)S算出
    装置の有効表面積を算出する方法は以下の通りです。
設置場所の分類 計算式
装置の全周囲が開放されている場合 S = 1.4 × WD + 1.8 × DH + 1.8 × WH
装置の背面が壁に接している場合 S = 1.4 × WD + 1.8 × DH + 1.4 × WH
装置の片側の放熱が妨げられている場合(装置の連結等) S = 1.4 × WD + 1.4 × DH + 1.8 × WH
装置の背面と片側の放熱が妨げられている場合 S = 1.4 × WD + 1.4 × DH + 1.4 × WH
装置の両側の放熱が妨げられている場合(装置の連結等) S = 1.4 × WD + 1.0 × DH + 1.8 × WH
装置の背面と両側の放熱が妨げられている場合 S = 1.4 × WD + 1.0 × DH + 1.4 × WH
装置の前面以外全ての放熱が妨げられている場合 S = 0.7 × WD + 1.0 × DH + 1.4 × WH

ここでは装置の全周囲が開放されている場合とします。

装置の有効表面積S

1.4 × WD + 1.8 × DH + 1.8 × WH

1.4 × 0.7× 0.4 + 1.8× 0.4× 1.0 + 1.8× 0.7× 1.0

2.37[m2

(1)必要風量の算出

ここでは、計算による求め方とグラフによる簡易的な求め方を説明します。

計算による求め方

\(\begin{align} V &= 1 \div 20 \times (Q \div \Delta T - U \times S) \times Sf\\ & = 1 \div 20 \times (450 \div 20 - 5 \times 2.37) \times 2\\ &\fallingdotseq 1.07 \ [\mathrm{m}^3 / \mathrm{min}] \end{align}\)

必要風量算出時は、内部の圧力損失を考慮する必要があります。
一般的に制御盤内部の圧力損失は未知であるため、動作点での風量は最大風量の50%と仮定し、安全率Sf = 2を考慮します。

必要風量の計算がWEBサイト上で簡単におこなえます

詳細はこちらをご覧ください。

グラフによる求め方

発熱量Q450Wと許容温度上昇値ΔT20℃の交点Aを求めます。
交点A点を起点として、横軸と平行線を引きます。
平行線と表面積S2.37m2の交点Bを求めます。
グラフB点より横軸に垂線を引き、必要風量 約0.5[m3/min]が求められます。
前述の理由から、安全率Sf2倍を考慮し、必要風量は1.00[m3/min]と導き出すことができます。
必要風量検討グラフ

(2)ファンモーターの選定

検討結果より、制御盤ファンユニット C-MU1238B-11B-PSLGを選定します。

C-MU1238B-11B-PSLGの仕様

電圧
V
周波数
Hz
入力
W
電流
A
回転速度
r/min
最大風量
m3/min
最大静圧
Pa
騒音レベル
dB(A)
100 50 15.2 0.21 2300 1.08 41 40

制御盤ファンユニットは、プロペラファンと周辺機器(異物や塵・水滴を防ぐカバーやフィルターメディア、フレ-ム、フィンガーガード)を一体化した製品です。フィルターにより異物の侵入をシャットアウトできるだけでなく、設置・メンテナンスも簡単におこなえるため、制御盤の冷却に最適です。