選定計算 ファンモーターの場合 ヒーターの選定例

装置内を適切な温度に保つためには、その条件を満たすヒーターの必要発熱量を把握する必要があります。
必要発熱量は装置のサイズ・材質・装置内外部の温度から求めることができます。ここではお客様の装置に最適なヒーターの選定例をご説明します。

ヒーター選定のフローチャート

ヒーター選定のフローチャート

選定の計算方法

フローチャートに従い、条件をもとに計算します。
(1)運転条件と装置の仕様の確認・算出
例として、寒冷地域の一般的な工場に設置されている装置内を、目標温度に設定するヒーターを選定します。

  • 冬季間は最低気温が−20℃に達する地域
  • 装置内の機器の使用周囲温度は0~50℃
  • 装置内の目標温度を5℃に設定する

①装置の仕様の確認

項目 仕様
装置のサイズ
(材質:鉄)
幅(W)= 0.7m
高さ(H)=1.0m
奥行き(D)=0.4m
温度条件 目標温度 T1=5℃
周囲温度 T2=−20℃
装置内の発熱量 Q=100W
電源 50Hz 100V
  • ※ 装置内の機器の発熱量です。電源、インバータ、
    プログラマブルコントローラなどヒーター以外に熱源がある場合に考慮します。
①装置の仕様の確認

②選定に必要な値の算出

  • 装置の有効表面積(放熱面積)S算出
    装置の有効表面積を算出する方法は以下の通りです。
設置場所の分類 計算式
装置の全周囲が開放されている場合 S = 1.4 × WD + 1.8 × DH + 1.8 × WH
装置の背面が壁に接している場合 S = 1.4 × WD + 1.8 × DH + 1.4 × WH
装置の片側の放熱が妨げられている場合(装置の連結等) S = 1.4 × WD + 1.4 × DH + 1.8 × WH
装置の背面と片側の放熱が妨げられている場合 S = 1.4 × WD + 1.4 × DH + 1.4 × WH
装置の両側の放熱が妨げられている場合(装置の連結等) S = 1.4 × WD + 1.0 × DH + 1.8 × WH
装置の背面と両側の放熱が妨げられている場合 S = 1.4 × WD + 1.0 × DH + 1.4 × WH
装置の前面以外全ての放熱が妨げられている場合 S = 0.7 × WD + 1.0 × DH + 1.4 × WH

ここでは装置の全周囲が開放されている場合とします。

装置の有効表面積S

1.4 × WD + 1.8 × DH + 1.8 × WH

1.4 × 0.7× 0.4 + 1.8× 0.4× 1.0 + 1.8× 0.7× 1.0

2.37[m2

  • 目標温度と周囲温度の温度差算出
温度差ΔT

T1T2

5−(−20)

25[℃]

(2)条件を満たす発熱量の算出
ここでは、計算による求め方とグラフによる簡易的な求め方を説明します。

計算による求め方

QH

S×5×ΔTQ

2.37×5×25−100

196.25[W]

  • ※ 装置の材質が鉄の場合、熱通過率は5になります。
    他の装置の材質と熱通過率は以下の通りです。
    ステンレス:4.5、アルミニウム:12.0、アルミニウム(2層):4.5
必要発熱量の計算がWEBサイト上で簡単におこなえます

詳細はこちらをご覧ください。

グラフによる求め方(下図ヒーティングパフォーマンスグラフ)

有効表面積(S)2.37m2と温度差(ΔT)25℃の交点Aを求めます。
交点Aを起点として横軸と平行に線を引きます。
平行線と縦軸の交点より必要発熱量(QH')300Wが求められます。
装置内の発熱量(Q)は運転時にヒーター同様熱源となるため、必要発熱量(QH')から除きます。
QH

QH'−Q

300−100

200[W]

グラフによる求め方(下図ヒーティングパフォーマンスグラフ)

(3)最適なヒーターの選定
計算による結果:196.25[W]
グラフによる結果:200[W]
算出結果より、200Wの発熱量が必要になることがわかります。
必要条件から、単相100V仕様であるHMA200F-1を選定します。

温度スイッチのご紹介

ヒーティングモジュールとの併用で省エネルギーに貢献する、ヒーター用温度スイッチAM2-XB1の使用をおすすめします。
詳細はこちら

温度スイッチのご紹介