電動スライダ/電動シリンダの選定 負荷モーメントの計算 -電動スライダ-

選定方法

負荷モーメントについて

電動スライダでワークを搬送する場合、テーブル中心(支点)よりワークの重心の位置がオフセットしているとリニアガイドに負荷モーメントが作用します。
作用方向はオフセットの位置によりピッチング(MP)、ヨーイング(MY)、ローリング(MR)方向に作用します。

スライダ 作用方向はオフセットの位置によりピッチング(MP)、ヨーイング(MY)、ローリング(MR)方向に作用

選定した電動スライダが搬送質量、位置決め時間を満足していても、ワークの重心の位置がテーブル中心(支点)から張り出している場合、負荷モーメントによって走行寿命が低下することがあります。負荷モーメントの計算をおこない、条件が仕様値内に入っていることを確認する必要があります。静止状態で作用するモーメントは静的許容モーメント、動作中に作用するモーメントは動的許容モーメントで確認してください。

ワークや荷重の掛け方から、電動スライダにかかる負荷モーメントを求め、静的許容モーメントおよび動的許容モーメントを超えないことを確認し強度が充分なことを確認します。

ワークや荷重の掛け方から、スライダにかかる負荷モーメントを求め、静的許容モーメントおよび動的許容モーメントを超えないことを確認し強度が充分なことを確認します
m
ワークの質量(kg)
g
重力加速度 9.807(m/s2
a
加速度(m/s2
h
電動スライダのテーブル高さ(m)
LX
X軸方向の張り出し距離(m)
LY
Y軸方向の張り出し距離(m)
LZ
Z軸方向の張り出し距離(m)
ΔMP
ピッチング方向の負荷モーメント(N·m)
ΔMY
ヨーイング方向の負荷モーメント(N·m)
ΔMR
ローリング方向の負荷モーメント(N·m)
MP
ピッチング方向の許容モーメント(N·m)
MY
ヨーイング方向の許容モーメント(N·m)
MR
ローリング方向の許容モーメント(N·m)
  • 負荷モーメント判定式:
\(\begin{align}\frac{|\Delta \mathrm{M_P}|}{\mathrm{M_P}} + \frac{|\Delta \mathrm{M_Y}|}{\mathrm{M_Y}} + \frac{|\Delta \mathrm{M_R}|}{\mathrm{M_R}} \leqq 1 \end{align}\)

張り出すワークなどが複数ある場合は各ワークからモーメントの和で判定します。

  • ワークが複数(n個)の時
\(\begin{align}\frac{|\Delta \mathrm{M_{P1}} + \Delta \mathrm{M_{P2}} + \cdots \Delta \mathrm{M_{Pn}}|}{\mathrm{M_P}} + \frac{|\Delta \mathrm{M_{Y1}} + \Delta \mathrm{M_{Y2}} + \cdots \Delta \mathrm{M_{Yn}}|}{\mathrm{M_Y}} + \frac{|\Delta \mathrm{M_{R1}} + \Delta \mathrm{M_{R2}} + \cdots \Delta \mathrm{M_{Rn}}|}{\mathrm{M_R}} \leqq 1 \end{align}\)

負荷モーメントが作用する考え方

静的モーメントが作用する考え方

以下のイラストは、電動スライダの設置状態と負荷の張り出し状態の組合せの代表例です。このイラストの中から、お客様の使用状態に該当するものを選びます。電動スライダが停止している状態での負荷モーメント(ΔMP、ΔMY、ΔMR)を求め、負荷モーメント判定式を用いて静的許容モーメント(MP、MY、MR)の範囲内で使用されているかを確認してください。

静的モーメントが作用する考え方

動的モーメントが作用する考え方

以下のイラストは、電動スライダの設置状態と負荷の張り出し状態の組合せの代表例です。このイラストの中から、お客様の使用状態に該当するものを選びます。電動スライダが動作中(加速度を加味する)の負荷モーメント(ΔMP、ΔMY、ΔMR)を求め、負荷モーメント判定式を用いて動的許容モーメント(MP、MY、MR)の範囲内で使用されているかを確認してください。

動的モーメントが作用する考え方

電動スライダのリニアガイドの期待寿命距離は、各シリーズの寿命を目安に設計しています。
しかし、負荷モーメント判定式が1を超えた場合、その使用状態では期待寿命距離を下回ります。
どの程度の期待寿命距離になるかは、下記の計算式で確認できます。

\(\begin{align} \text{期待寿命距離}(\mathrm{km}) = 5000 \mathrm{km^\ast}\times \left( \frac{1}{ \frac{|\Delta \mathrm{M_P}|}{\mathrm{M_P}} + \frac{|\Delta \mathrm{M_Y}|}{\mathrm{M_Y}} + \frac{|\Delta \mathrm{M_R}|}{\mathrm{M_R}}} \right)^3\end{align}\)

選定サービスのご案内

簡単にご利用いただけるモーター選定ツールや、専任スタッフによる最適製品の選定サービス(無料)をおこなっております。

モーター選定ツール

WEB上で機構や運転条件の数値を入力していただくだけで、製品を選ぶことができるツールです。7つの機構から、すべてのカテゴリのモーターを選定できます。

選定を依頼する

手間のかかる負荷計算からモーター選定までをお客様に代わっておこない、最短2時間で回答します。