3-4. ギヤヘッドの寿命

ギヤヘッドの寿命は、軸受の機械的寿命を基準に考えます。
機械的寿命は、軸受けにかかる荷重の大きさや回転速度によって決まります。

ギヤヘッドの定格寿命

当社では、一定の運転条件を定めた上で、定格寿命を定義しています。下表はその一例です。

シリーズ ギヤヘッドの種類 運転条件 基準入力回転速度 定格寿命時間L1
ワールドK
シリーズ
平行軸ギヤヘッド
トルク
許容トルク
負荷の種類
一様負荷
入力回転速度
基準入力回転速度
ラジアル荷重
許容ラジアル荷重
アキシアル荷重
許容アキシアル荷重
1500r/min 5000時間
直交軸ギヤヘッド
KⅡS
シリーズ
平行軸ギヤヘッド 10000時間
直交軸ギヤヘッド 5000時間

運転条件は、すべてのシリーズ・ギヤヘッドの種類において共通です。
その他のシリーズ・ギヤヘッドの種類での定格寿命については、技術資料をご覧ください。

ギヤヘッドの寿命時間の推定

実際の使用においての寿命時間は、使用回転速度、負荷量、負荷の種類を考慮した次式によって、算出します。
許容トルクに対して使用する負荷が小さくなるほど、寿命は長くなります。

  • \begin{aligned}& L(\text { 寿命時間 })=L_1 \frac{K_1}{\left(K_2\right)^3 \cdot f}[\mathrm{~h}] \end{aligned}

  • \begin{aligned} & K_1=\frac{\text { 基準入力回転速度 }}{\text { 使用入力回転速度 }} \\ & \\ & K_2=\frac{\text { 使用卜ルク }}{\text { 許容卜ルク }} \\ & \end{aligned}
L1
技術資料に掲載されている、ギヤヘッドの定格寿命時間L1の値を使用します。
K1
回転速度係数です。技術資料に掲載されている基準入力回転速度と、実際に使用する入力回転速度から求めます。
K2
負荷率です。仕様として公開されている各ギヤヘッドの許容トルクと、実際に使用するトルクから求めます。
慣性体の駆動のように、起動・停止時のみ大きな負荷がかかる場合は、平均トルクを使用トルクとします。
平均トルクの算出方法は、技術資料をご覧ください。
f
負荷の種類で変わる係数(サービスファクタ)です。詳細は下表をご覧ください。
負荷の種類 負荷種類係数f
一様負荷
  • 一方向連続運転
  • ベルトコンベヤ、フィルム巻き取り等の負荷変動の少ない駆動
1.0
軽衝撃
  • 頻繁な起動・停止
  • カム駆動による慣性体の位置決め制御等
1.5
中衝撃
  • レバーシブルモーターの頻繁な瞬時正逆運転および起動・停止
  • ACモーターのブレーキパックによる頻繁な瞬時停止
2.0

ご注意

  • この寿命時間の推定では、負荷率に対し、ラジアル荷重、アキシアル荷重の値も比例した値で計算しています。 したがって、負荷率が50%のときは、ラジアル荷重、アキシアル荷重も50%で計算した寿命となります。
  • 負荷率が低く、ラジアル荷重、またはアキシアル荷重が大きいときは、この式で計算した寿命時間よりも短くなります。

まとめ

ギヤヘッドの寿命は、軸受の機械的寿命で決まり、当社では製品ごとに寿命の目安時間がある

定格寿命の運転条件以外で使用する場合、計算式から寿命時間を推定することができる

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