2-4. 瞬時停止機能 ― ブレーキパックについて
ACモーターを瞬時停止させたいときは、ブレーキパックを使用します。
こちらのページでは、ブレーキパックの役割と動作原理について説明します。
2-4-1. ブレーキパックの役割
ブレーキパックとは、ブレーキ回路を搭載した製品です。
モーターを瞬時に停止し、オーバーラン量を小さくすることができます。
上図は、各ACモーターの無負荷時のオーバーラン量(参考値)の比較です。
ブレーキパックを組み合わせることで、オーバーラン量を1~1.5回転程度に抑えることができます。
ブレーキパックを使った簡易位置決め
ブレーキパックは、上位PLCなどによる制御が可能です。
外部センサを使った簡易位置決めなどにも利用できます。
2-4-2. ブレーキパックの動作原理
ACモーターは、AC電源によって発生した回転磁界によって回転します。
ブレーキパックは、モーターへ大きな制動電流を流し、固定磁界を発生させます。
回転磁界を失ったモーターは停止します。そして、制動電流を流した後、商用電源の供給も遮断します。
ブレーキパックの内部構成
SCRを使った回路は、制動電流を流す回路です。一方向からの電流のみが流れます。
TRIACを使った回路は、商用電源の供給回路です。双方向から電流が流れます。
ACモーターを運転するとき
ACモーターを運転するときは、TRIACの回路を使用します。
TRIACにトリガ信号を与えると、ACモーターに商用電源が供給されます。
単相モーターの場合、主巻線に流れる電流に対し、補助巻線にはコンデンサによる位相のずれた電流が流れます。
これにより、回転磁界が発生し、モーターが回転します。詳しくは、1-4-2. 回転磁界(単相電源・三相電源)をご覧ください。
ACモーターを瞬時停止するとき
ACモーターを瞬時停止するときは、SCRの回路を使用し、TRIACの回路を遮断します。
SCRにトリガ信号を与えると、ACモーターに制動電流が流れます。制動電流は一方向の電流です。
この制動電流は半波整流されているため、同相の電流だけが流れます。
また、SCRの回路はコンデンサを経由しないため、主巻線と補助巻線の位相のずれがなくなります。
制動電流を流した後、TRIACの信号をOFFにし、商用電源の供給を遮断します。
制動電流と発熱について
瞬時停止時には、運転電流以上の大きな制動電流が流れます。
制動電流の流れる時間は1秒に満たないため、1回の使用で発熱が大きくなるということはありません。
ただし、短時間に運転と制動を繰り返す場合、ACモーターとブレーキパックの発熱が大きくなり、連続使用時間が制限されることがあります。
ブレーキパックの運転サイクルと発熱については、3-2-2. ブレーキパックによる間欠運転と温度上昇をご覧ください。
関連情報
電磁ブレーキ付モーターの寿命について、当eラーニングの後半で説明します。
関連製品
ブレーキパックと同じ、制動電流による瞬時停止機能をもった製品です。
速度制御が可能ですが、ACモーター単体のときのように、一定速で使用することもできます。
<ポイント>
- 電磁ブレーキ付タイプ有り。負荷保持と瞬時停止を一つのコントローラで制御。
- スピードコントローラとモーターの配線はコネクタ方式。ワンタッチで簡単接続。
まとめ
ブレーキパックは、モーターに制動電流を流すことによって、瞬時停止させている
モーターを瞬時停止させることで、簡易位置決め運転をすることができる
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