3-1. 必要分解能の確認

駆動機構の必要分解能をもとに、モーターに要求される必要分解能(ステップ角)を確認します。
分解能(ステップ角)は、モーターのシリーズ選定や、3-2. 運転パターンの確認の運転パルス数・運転パルス速度(モーター回転速度)の算出に必要です。

必要分解能(θs)の求め方

直動機構の場合

\(\bbox[5pt, border: 1px solid black]{\begin{align} \text{必要分解能}\theta s= \frac{360\ [{ ^\circ }\ ] \times \text{要求分解能}\ [\mathrm{mm}/ \text{step}]} {\text{モーター1回転あたりの移動量}[\mathrm{mm}]}\end{align} }\)
  • ※ 回転機構では、機構の要求分解能が直接モーターの必要分解能となるため、計算不要です。

モーターの基本ステップ角とマイクロステップ駆動について

基本ステップ角は、モーター機種やシリーズによって異なります。

モーター種類 代表例 基本ステップ角 [°/step]
αSTEP AZシリーズ、ARシリーズ 0.36
5相ステッピングモーター RKIIシリーズ、CVKシリーズ(5相) 0.72
2相ステッピングモーター CVKシリーズ(2相) 1.8

必要分解能(ステップ角)を求めた後、基本ステップ角の仕様をもとに、条件に合うシリーズを選択します。
必要分解能と基本ステップ角が一致しない場合も、ギヤードモーターを選択したり、ドライバの機能(マイクロステップ)を使うことで、出力軸のステップ角を変更することができます。

  • ※ マイクロステップの設定方法や設定範囲は、シリーズごとに異なります。詳しくは各取扱説明書をご確認ください。
  • ギヤードモーターの種類について

    ステッピングモーターのバリエーションとして、ギヤを組み付けたギヤードモーターをご用意しています。
    ステップ角の調整ができるほかに、減速、高トルク、大慣性駆動などのメリットを得られます。

    ギヤードモーターのラインアップはこちら

  • 電子ギヤについて

    RKIIシリーズ(位置決め機能内蔵タイプ)、ARシリーズ、AZシリーズは、データ設定器またはデータ設定ソフトから、電子ギヤの設定が可能です。
    電子ギヤを使えば、より機構に合った分解能を設定することができます。

    電子ギヤの計算ツールはこちら

必要分解能の計算例

手順

① 必要分解能を求める

② モーターのシリーズを選択する

機構条件の一覧を表示する

必要分解能(θs)を求める

機構条件をもとに、必要分解能(θs)を求めます。

\(\begin{aligned} \text{必要分解能}\ \theta s & = \frac{360\ [{^\circ}\ ] \times \text{要求分解能}(\Delta\text{l})\ [\text{mm} / \text{step}]}{\text{ボールねじのリード}(P{_B}) [\text{mm}]}\\[ 6pt ] & = \frac{360\ [{^\circ }\ ] \times 0.04\ [\text{mm} / \text{step}]}{20\ [\text{mm}]}\\[ 6pt ] & = 0.72\ [{ ^\circ } / \text{step} ] \end{aligned}\)

機構条件

  • △l(要求分解能) : 0.04 [mm/step]
  • PB(ボールねじのリード) : 20 [mm]

モーターのシリーズを選択する

今回は、必要分解能と基本ステップ角が一致する、RKIIシリーズを選択します。

  • ※ 必要分解能が0.72°の場合、αSTEPや、2相ステッピングモーターも対応可能です。
    実際の選定では、シリーズの特徴などを比較したうえで、シリーズを決定してください。

機構条件の一覧を表示する

必要分解能(θs)を求める

機構条件をもとに、必要分解能(θs)を求めます。

\(\begin{aligned} \text{必要分解能}\ \theta s & = \frac{360\ [{^\circ}\ ] \times \text{要求分解能}(\Delta\text{l})\ [\text{mm} / \text{step}]}{\text{モーター1回転あたりの移動量} [\text{mm}]}\\[ 6pt ] & = \frac{360\ [{^\circ }\ ] \times 0.1\ [\text{mm} / \text{step}]}{\pi \times 31.85\ [\text{mm}]}\\[ 6pt ] & = 0.36\ [{ ^\circ } / \text{step} ] \end{aligned}\)

機構条件

  • △l(要求分解能) : 0.1 [mm/step]
  • D(プーリーの直径) : 31.85 [mm]

モーターのシリーズを選択する

必要分解能は0.36°ですが、RKIIシリーズの分解能設定で対応できるため、今回はRKIIシリーズを選択します。

  • ※ 必要分解能が0.36°の場合、αSTEPはもちろん、2相ステッピングモーターも対応可能です。
    実際の選定では、シリーズの特徴などを比較したうえで、シリーズを決定してください。

機構条件の一覧を表示する

モーターのシリーズを選択する

機構条件より、必要分解能は0.1°ですが、RKIIシリーズのギヤードタイプ(PSギヤードタイプ、減速比7.2)で対応できるため、今回はRKIIシリーズを選択します。

  • ※ ギヤードタイプを検討すれば、分解能が0.1°の場合、αSTEPはもちろん、2相ステッピングモーターも対応可能です。
    実際の選定では、シリーズの特徴などを比較したうえで、シリーズを決定してください。

ここで求めた値や選択したシリーズをもとに、次のページでは、運転パターンを確認します。

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