5-1. 簡易計算式による計算方法
比熱、比重量、熱通過率などが、あらかじめ定数として盛り込まれている簡易計算式を使用して、必要風量を求めることができます。
必要風量(q)の簡易計算式
$$\bbox[8pt, border: 1px solid #ccc]{\text { 必要風量 }{q} = \frac{1}{20} \times \left(\frac{Q_X}{{T_1}-{T_2}}\ - {K} \times {S}\right) \times\ \text{安全率}}$$
-
- QX
- 筺体内部の発熱量 [W]
- K
- 熱通過率 [W/m2・K] ※
- S
- 筺体の有効表面積 [m2]
-
- T1
- 目標温度(装置内温度) [℃]
- T2
- 周囲温度 [℃]
- ※ 簡易計算式では、一般的に使用されている定数(5 [W/m2・K])を使用します。熱通過率の詳細については、こちらをご覧ください。
筺体の有効表面積(S)の計算には、国際規格IEC TR 60890で規定されている算出法を使用します。
設置場所の分類 | 計算式 |
---|---|
筐体の全周囲が開放されている場合 | S = 1.4 × W ・ D + 1.8 × D ・ H + 1.8 × W ・ H |
筐体の背面が壁に接している場合 | S = 1.4 × W ・ D + 1.8 × D ・ H + 1.4 × W ・ H |
筐体の片側の放熱が妨げられている場合(装置の連結等) | S = 1.4 × W ・ D + 1.4 × D ・ H + 1.8 × W ・ H |
筐体の背面と片側の放熱が妨げられている場合 | S = 1.4 × W ・ D + 1.4 × D ・ H + 1.4 × W ・ H |
筐体の両側の放熱が妨げられている場合(装置の連結等) | S = 1.4 × W ・ D + 1.0 × D ・ H + 1.8 × W ・ H |
筐体の背面と両側の放熱が妨げられている場合 | S = 1.4 × W ・ D + 1.0 × D ・ H + 1.4 × W ・ H |
筐体の前面以外全ての放熱が妨げられている場合 | S = 0.7 × W ・ D + 1.0 × D ・ H + 1.4 × W ・ H |
-
- S
- 筺体の有効表面積 [m2]
- H
- 筺体の高さ [m]
-
- W
- 筺体の幅 [m]
- D
- 筺体の奥行き [m]
必要風量(q)の簡易計算例
- 手順
-
① 筺体の有効表面積(S)を求める
② 必要風量(q)を求める
筺体の有効表面積(S)を求める
筺体の設置条件と大きさをもとに、筺体の有効表面積(S)を求めます。
設置条件 | 全周囲開放 |
---|
\(\begin{align}\text { 筐体の有効表面積 }{S} & = 1.4 \times {W}\cdot{D} + 1.8 \times{D}\cdot{H} + 1.8 \times{W}\cdot{H}\\[ 5pt ]
& = 1.4 \times 0.7\ [\mathrm{m}]\times 0.4\ [\mathrm{m}]+ 1.8 \times 0.4\ [\mathrm{m}]\times 1\ [\mathrm{m}]+ 1.8 \times 0.7\ [\mathrm{m}]\times 1\ [\mathrm{m}]\\[ 5pt ]
& = 2.37\ [\mathrm{m^2}]
\end{align}\)
要求仕様
- W (筺体の幅) : 0.7 [m]
- H (筺体の高さ) : 1 [m]
- D (筺体の奥行き) : 0.4 [m]
必要風量(q)を求める
筺体の仕様と、筺体の有効表面積(S)、熱通過率(K)、安全率をもとに、必要風量(q)を求めます。
熱通過率 | K = 5 [W/m2・K] | 安全率 | 2 |
---|
\(\begin{align}\text { 必要風量 }{q} & = \frac{1}{20} \times \left(\frac{Q_X}{{T_1}-{T_2}}\ - {K} \times {S}\right) \times\ \text{安全率}\\[ 5pt ]
& = \frac{1}{20} \times \left(\frac{450 [\mathrm{W}]}{45\ [^\circ\mathrm{C}]\ -\ 25\ [^\circ\mathrm{C}] } -\ 5\ [\mathrm{W}/\mathrm{m^2}\mathrm{K}] \times 2.37[\mathrm{m^2}] \right)\times 2\\[ 5pt ]
& = 1.07\ \left[ \mathrm{m^3}/\mathrm{min}\right]\end{align}\)
要求仕様
- QX(筺体内部の発熱量) : 450 [W]
- T1(目標温度) : 45 [℃]
- T2(周囲温度) : 25 [℃]
簡易計算式から求める必要風量は、WEBサイト上の技術サポートツールで自動計算することができます。
次のページでは、必要風量検討グラフから読み取る方法をご紹介します。
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