制御盤内部の湿気から精密機器を守る!予防保全のご提案
こんな経験ありませんか?窓ガラスが気づいたら結露していた!
室内外の温度差がある場所ならどこでも、結露は生じる可能性があります。
たとえば秋~冬の時期において、エアコンを切った車内に結露が発生した経験はありませんか?
制御盤の内部も、昼夜の温度差により結露が生じやすくなるのは例外ではありません。
もし結露が生じるほどの温度差が制御盤の中でも起こっているとしたら…
結露が引き起こすトラブルとは?
制御盤内部が多湿になったり結露が生じると、雰囲気中に浮遊しているダストが湿気を吸収。それが精密機器内に落下すると、精密機器の不具合や生産ラインが停止する原因につながります。
結露を放置しておくと…!
- 寿命が短くなる
- 精密機器内の回路がショート。ブレーカーが落ちる原因に
こうしたトラブル発生のリスクは、予防保全の観点から事前に回避したいですね。
湿気・結露によるトラブル対策を、あらかじめ検討してみませんか?
オリエンタルモーターからのご提案
ファン付スペースヒーターをご存知ですか?
オリエンタルモーターがご用意するファン付スペースヒーターは、制御盤の内部環境を改善。精密機器の長寿命化・高信頼性に貢献します。
発見!ヒーター導入のメリット
- 精密機器の寿命を延ばせる
- 制御盤の安全対策に貢献する
ヒーター活躍の場はこんなところ!
結露対策に
「空気」は、暖かいと容積が大きくなり、冷たいと小さくなります。空気の温度によって保有できる水分量も変わるため、温度差が生じ空気が露点を超えたとき、結露は生じやすくなります。特に寒冷地や屋外に設置する装置の場合、冬は昼夜の温度差が大きくなります。結露対策には、制御盤内部に温度差を生じさせないことが必要です。
空気は湿度が高いと容積が大きくなり、低いと容積は小さくなる

低温対策に
精密機器は、0~50℃(結露のないこと)の環境下で使用するのが一般的です。そのため、屋外に設置される装置や地域によっては、制御盤内部の低温対策が必要です。
ヒーターの導入例
寒冷地や降雪地域、高湿度環境や野外に設置する装置に採用いただいています。
- 自動改札機
- セルフ給油機
- 携帯電話の基地局
- 精算機
- 風力発電施設
…など

制御盤の不具合をヒーターで解消!~導入事例~
あるマシニングセンタの制御盤で発生する不具合を改善するため、ヒーターを設置。その効果を検証した事例をご紹介します。
きっかけ
油性の切削油を使用していたマシニングセンタは、火災対策として全設備の切削液を水溶性に変更。しかしその後制御盤内が結露し、精密機器が相次いで故障するトラブルが発生した。
現状分析
マシニングセンタの相対湿度を測定した結果、時間帯や曜日によっては70%以上に達することが判明。(図1)結露によるトラブルの原因は、以下の2点であったと考えた。
- 水溶性の切削液の水分が蒸発したことで空気中の湿度が上昇した。
- 夜間や週末は工場が稼動しないため、制御盤周辺の温度が低下し制御基板に結露が発生。
その状態で翌朝稼動した結果、設備が電気的なショートを起こし装置が故障した。

対策
制御盤周辺の湿度を低減する目的で、以下の対策をおこなった。
- ファン付スペースヒーター
- 湿度スイッチ
- 温度スイッチ※
の3点を制御盤内部に取り付けた。(図2)
- ※ 温度スイッチは冬場を想定し低温時動作用に取り付けた。

結果
ファン付スペースヒーター設置前は、70%を越えることもあった相対湿度が、50%以下※に抑えられた。(図3)今回おこなった対策により、結露による不具合は解消された。
- ※ 実験用として湿度スイッチの設定を50%以上で動作するようにしている。

最適なヒーターを選定する
高湿度・結露・低温によるトラブル対策に効果的なヒーター。
ここでは、制御盤内部を快適な湿度に保つためのヒーターを、かんたんに選定する方法をご紹介します。
Q.環境や季節によってヒーターを使ったほうがいいことはわかりましたが、どうやって選定したらいいですか?
ヒーターは、かんたんな計算をするだけで最適な発熱量のものをお選びいただけます。
キャビネットのサイズや内部機器の発熱量などを準備し、フローチャートに沿って計算してみましょう。WEBサイト上で必要発熱量の計算ができる技術サポートツールや、オリエンタルモーターの選定サービス(無料)もお気軽にご利用ください。
ヒーターの選定フローチャート
寒冷地域の一般的な工場に設置されている制御盤を想定し、選定方法をご説明します。
【想定条件】
- 全周囲が解放されている制御盤を想定
- 制御盤内部の目標温度:5℃
- 制御盤設置環境の最低温度:ー20℃
- 内部機器の発熱量設定:100W
制御盤(材質:鉄) |
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目標湿度 |
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周囲温度 |
|
内部発熱量 |
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電源 | AC100V |

有効表面積算出方法 | |
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設置場所の分類 | 計算式 |
![]() モーター
|
S=1.8×H×(W+D)+1.4×W×D |
![]() 制御盤の背面が壁に接している場合
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S=1.4×W×(H+D)+1.8×D×H |
![]() 制御盤の片側の放熱が妨げられている場合(制御盤の連結等)
|
S=1.4×D×(H+W)+1.8×W×H |
![]() 制御盤の背面と片側の放熱が妨げられている場合
|
S=1.4×H×(W+D)+1.4×W×D |
![]() 制御盤の両側の放熱が妨げられている場合(制御盤の連結等)
|
S=1.8×W×H+1.4×W×D+1.4×W×D+D×H |
![]() 制御盤の背面と両側の放熱が妨げられている場合
|
S=1.4×W×(H+D)+D×H |
![]() 制御盤の前面以外すべての放熱が妨げられている場合
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S=1.4×W×H+0.7×W×D+D×H |
-
①
盤有効表面積(放熱面積)の算出(S)
S=2.37㎡ここでは全周囲が解放された制御盤を想定しているので以下の式で算出します。
S =1.8 x H x (W x D) + 1.4 x W x D -
②
制御盤内部の目標温度設定(T1)
T1=5℃収納している機器の仕様等から、内部の目標温度を設定します。
-
③
制御盤が設置されている環境の温度設定(T2)
T2=-20℃想定される最低の温度を設定します。
-
④
目標温度と周囲温度の温度差算出(ΔT)
ΔT=25℃下記の式で算出します。
ΔT=T1-T2 -
⑤
内部機器の発熱量設定(Q)
Q=100W制御盤内部に収納されている機器の発熱量です。(電動、インバータ、PLC等)ヒーター以外に熱源がある場合に考慮します。
- ※ 盤用熱関連機器技術研究会の資料にリンクします。
-
⑥
条件に最適な発熱量を算出(QH)
QH=196W次の式で算出します。
QH=S x 5(※) x ΔT - Q- ※ 式中の”5”は鉄製制御盤の熱通貨率です。
【参考】筺体の材質と熱通貨率
ステンレス:4.5
アルミニウム:12.0
アルミニウム(二層):4.5
最適なヒーターの選定
-
検討結果より200Wの発熱量が必要です。
ファン付スペースヒーターHMA200F-1を選定します
定格発熱量:200W(定格電圧:AC100V仕様)
定価:20,300円 -
制御盤内部が必要以上の高温にならないよう温度を保つ、温度スイッチをご用意しています。
ヒーター用温度スイッチ AM2-XB1
ヒーターとの併用で、省エネ・機器への熱ストレス軽減に貢献します。
定価:3,200円
技術サポートツールのご紹介
必要発熱量の計算がWEBサイト上でかんたんにおこなえます。
ファン付スペースヒーターの取付方法
-
接続方法
端子台に電源用リード線を接続、AC電源を投入するだけでかんたんに運転可能です。
-
設置方法
付属の取付金具とねじで、DINレール取り付けに対応。取付金具はヒーター側面の3方向に取り付けができます。※取り付けの際は、必ずヒーター部が上、ファンモーター部を下にして設置してください。
右図は制御盤内部の様子をサーモグラフィで測定したものです。あたたまった空気は上にたまることがわかります。ヒーターやヒーター用温度スイッチは、制御盤下部に取り付けるほうがより適切に温度管理ができます。WEBサイトでは、ヒーターの取り付けに関するQ&Aを掲載しています。
下図は制御盤内部の様子をサーモグラフィで測定したものです。あたたまった空気は上にたまることがわかります。ヒーターやヒーター用温度スイッチは、制御盤下部に取り付けるほうがより適切に温度管理ができます。WEBサイトでは、ヒーターの取り付けに関するQ&Aを掲載しています。

ラインアップ紹介
ファン付スペースヒーターやヒーター用温度スイッチをはじめ、高湿度・結露・低温対策に最適な製品を取り揃えています。

ヒーター用温度スイッチ AM2-XB1
夜間や休日など長期にわたり装置を停止する場合だけでなく、必要なときに制御盤内部の環境をコントロールできる、ヒーター用温度スイッチです。
ヒーターをお使いのお客様の声
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T社
ご担当社様装置内部のスペースが限られている中、ファンから出る温風の温度が低いことが採用のポイントとなりました。
熱に弱い他の電子部品にもストレスを与えず温められることがよかったです。 -
S社
ご担当社様盤内の温度を均一化するため、スペースヒーターとファンを別々に設置して熱を対流させていました。ファン付ヒーターはそれらが一体化しているので設置するスペースが少なくて済むし、組み付けの手間を削減できました。