ACスピードコントロールモーターなのに、スピード調整できません。なぜですか?


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う~ん・・・。
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あら、今日はまた、何をしかめっ面して悩んでいるの?
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お客様から「スピードコントロールモーターを実際に見てみたい」というお問い合わせがあり、明日ショールームにいらっしゃることになったんです。事前にモーターの動作確認をしたところ、スピード調整ができないんです。どこか壊れているんでしょうか。
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本当に壊れているの?きちんと確認した?
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いいえ、でもどう確認したらよいのかわからなくて・・・

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まず、結線がきちんと合っているかを確認すること!結線図と照らし合わせてみて。
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えーと、白がここで、黒がここで、青が・・・。あれ?青リード線が一つ外れている。
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細い青リード線でしょ。それが原因ね。結線図どおりに接続し直して、もう一度動かしてみて。
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はい。あ、本当だ。ちゃんと動く。スピード調整が出来ますよ。でも、何でこの細い青リード線が外れるとスピード調整ができないんだろう。
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この細い青リード線はレートジェネレータから出ているリード線なの。スピードコントロールモーターの動作原理を理解すれば、学くんにもわかるわよ。
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照代さん、ぜひ教えてください。
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じゃあ、いい?まず、ACモーターは電圧によって出力されるトルクが変わるの。当然電圧が低いとトルクが小さくなるわね。この特性を利用してスピードコントロールしているのよ。
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うーん。トルクが小さくなるのはわかるけど、スピードコントロールとどう関係しているんだろう?
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いい?スピードコントロールモーターの後部にはレートジェネレータという発電機の役割をするものがついているの。
モーターの回転速度が速いと発電される電圧は高いし、モーターの回転速度が遅いと発電される電圧は低くなるわよね。
つまり、レートジェネレータから出力される電圧によって、モーターの回転速度がわかるというわけ。 -
なるほど・・・。
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スピードコントローラはそのフィードバックされた電圧でモーターの速度を検知しているの。
そして、ボリュームによって設定された速度とレートジェネレータによって検知されたモーター回転速度を比較するの。
もしモーター回転速度の方が設定速度より速ければ、モーターへかける電圧を低くして速度を下げ、設定速度より遅くなるとモーターにかける電圧を高くして速度を上げるの。
これを繰り返してモーターの速度を設定速度と同じに保つわけ。

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そうか、設定速度で回転するように、モーターへかける電圧を調整するんですね。
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そうね。じゃあ、もしレートジェネレータのリード線が外れていたら、どうなるか考えてみて
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レートジェネレータのリード線が外れていると・・・電圧がわからなくなって・・・えーと。
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リード線がつながっていないと電圧は何Vになる?
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電圧は・・・0V?
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ということは、スピードコントローラはモーターがどういう状態だと判断するかしら。
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モーターが・・・止まっていると判断して・・・印加電圧を上げる。上げてもレートジェネレータはつながっていないから、ずっと止まっていると判断して、また上げる。なるほど、そういうことか。
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そう。つまり、100V入力タイプであれば、100Vをそのままモーターにかけてしまうのね。それで、モーターは全速で回転して、ボリュームを回しても速度制御できないというわけ。
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なるほど~。そういうわけか。それにしても照代さんはやっぱり何でも知っていますね。
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そんなことないわよ。実は、つい先日技術セミナーに出席させてもらったの。そしたら、セミナー講師がわかりやすく説明してくれたわ。
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技術セミナーって、お客様に受講していただくあのセミナーですか?僕も受けていいですか?
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いいわよ。ホームページからスケジュールの確認と申し込みができるわ。くれぐれもお客様の邪魔にならないようにするのよ。
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わかってますよ。じゃ、早速明日受けちゃいま~す。
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こらこら、明日はお客様がスピードコントロールモーターを見に来られるんでしょ。技術セミナーは、毎月全国各地でさまざまなコースを展開しているから、ちゃんと計画を立てて・・・あっ、こら、待ちなさーい!あ~あ。行っちゃった。学くんもスピードコントロールモーターみたいに、きちんと言うこと聞いてくれないかなぁ・・・