ステッピングモーターのギヤードタイプって、どう選べばいいの?


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う~ん・・・。
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何だか悩んでるみたいね。どうしたの?
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お客様から、インデックステーブルの駆動部に使うステッピングモーターの選定を頼まれたんです。イナーシャ比の計算をしているんですけど、お客様の機構の負荷慣性モーメントの値を当てはめて計算してみたら、イナーシャ比が大きくてαSTEP ARシリーズでも条件に合うモーターがなくて・・・。
【表(1)】
対象製品 | イナーシャ比 |
---|---|
αSTEP | 30以下 |
ステッピングモーター |
- ※ ギヤードタイプを除く
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ギヤードタイプで選定計算してみた?負荷慣性モーメントが大きい機構には、ギヤードタイプがおすすめよ! 表(2)の計算式を見てみて。ギヤードタイプを選定することで、イナーシャ比を小さくすることができるのよ。
【表(2)】
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そうだったんだ!ギヤードタイプなら、お客様の機構でも大丈夫そうです。でも、ステッピングモーターのギヤードタイプって、たくさん種類があって選ぶのが大変そう・・・。
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えっと、許容トルクも違うし、あと、バックラッシの値が違いますね。バックラッシって確か、ギヤヘッドの歯車の歯と歯の間のガタのことですよね?
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そうね。装置の駆動に必要なトルクが許容トルク以内かどうかはもちろん、安全率がどれくらいとれるのかも確認しなければいけないわ。さらに、ステッピングモーターはACモーターと違って位置決めの精度が求められる分、バックラッシの値も選ぶ上で重要なポイントとなるのよ。
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なるほど!イナーシャ比やトルクの計算だけじゃ選べないんだ。お客様の位置決め精度を確認して、より厳しい精度がもとめられる場合には、PNギヤードやハーモニックギヤードをご提案すればいいですね。あれっ、減速比のバリエーションもシリーズによって違うんだ。1/3.6や1/7.2って、なんでこんな中途半端な減速比があるのかなぁ?
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ステッピングモーターの分解能にヒントがあるのよ。例えば、学くんが選定しようとしているαSTEP ARシリーズは1パルスあたり何度動くかしら?
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えっと、αSTEP ARシリーズは1パルスあたり0.36°ですよね・・・。あっ、減速比3.6の時は、ギヤヘッドの出力軸で1パルスあたり0.1°動くことになるから、角度の割り出しがしやすいですね。
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ねっ!ちゃんと考えられているのよ。お客様の割り出したい角度に対して、きちんと割り切れる分解能になるよう、減速比も選ばなければいけないのよ。割り切れない減速比で選んでしまうと、そのズレがどんどん累積されてしまうでしょ?
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そうだったんですね。お客様の運転速度も考えなきゃいけないし・・・。もう一度運転条件と機構条件を確認して、αSTEP ARシリーズのギヤードタイプで選定してみます。
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ARシリーズは高効率なモーターだから、高頻度な繰り返し位置決めをする場合でも発熱を抑えられるわ。
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そうでした。駆動デューティを気にしなくていいので、装置のタクトタイム向上の提案ができますね。
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学くんも少しずつ製品について分かってきたみたいだけど、お客様の条件によって選定計算もできるよう、しっかり予習しておいてね。
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はい!