ブラシレスモーターは負荷がかかっても速度は落ちないの?


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照代さん、ちょっと質問が・・・。
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なに?学くん。
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インバータは負荷がかかると速度が落ちるっていう話は以前に教えていただきましたよね?
掲載記事はこちら●インバータ(V/f制御) 回転速度-トルク特性 モーターの速度をフィードバックしていないので、負荷がかかると速度が落ちる。
<例>
無負荷時の回転速度が1500r/minの場合、許容トルクをかけると回転速度は約1300r/minまで落ちる。お客様もそれをご存知なので、新規の装置には速度が落ちないサーボモーターを使おうとされています。でも、サーボモーターはインバータに比べて価格が高いから、ほかに何かないかと言われまして。
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ブラシレスモーターなんかはどう?
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そう思って、ブラシレスモーターの回転速度-トルク特性のグラフを見ているんですが、グラフを見てもインバータのグラフのようにどのくらい速度が落ちるか書いてないんです・・・。
●ブラシレスモーター 回転速度-トルク特性 -
そういうときはグラフでなく、カタログの仕様表に記載されている「対負荷速度変動率」を見るのよ。
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なるほど。ちなみに対負荷速度変動率ってなんでしたっけ?
何%とか書いてあったと思うのですが、よくわからないままにしています・・・。 -
もう、しっかりしてよ!対負荷速度変動率というのは「負荷が変化した場合に、回転速度がどの程度変動するかを表したもの」なのよ。
実際の測定では、モーターを決められた設定速度で回転させて、無負荷から定格トルクまで負荷をかえて、実際の回転速度がどのくらい変化しているかを測定するの。ブラシレスモーターやサーボモーターでは定格回転速度で測定しているのよ。 -
新しく出たブラシレスモーターのBMUシリーズを見ると対負荷速度変動率は±0.2%と書いてありますよね。これってどういうことですか?
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BMUシリーズの定格回転速度が3000r/minだから±0.2%というのは回転速度になおすと±6r/minになるわ。負荷が変わっても実際の回転速度は2994~3006r/minの範囲で速度制御しているということなのよ。
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そういうことだったんですね。よくわかりました。でも、対負荷速度変動率の±0.2%って速度制御モーターの中で比較すると小さいんですかね?
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じゃあ、3つの速度制御モーターで比較してみましょうか。
速度制御モーター 対負荷速度変動率 インバータ(V/f制御タイプ) -10%※(参考値) ブラシレスモーター BMUシリーズ ±0.2% サーボモーター NXシリーズ ±0.05% - ※ 設定速度1500r/min時
これを見ると、インバータに比べ、ブラシレスモーターやサーボモーターの対負荷速度変動率はかなり小さいといえるわね。
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対負荷速度変動率を気にされているお客様にはブラシレスモーターとかサーボモーターをおすすめするのがよさそうですね。でも、どういう用途のときにそれが影響してくるんでしょうか。
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たとえば、次のような用途があげられるわ。
●攪拌装置
攪拌中に液体の粘度・液量が変わっても設定した速度で回転させることができます。●搬送装置(ベルトコンベヤ並列)
ベルトコンベヤ2台での搬送においてほぼ同期した速度で送ることができます。●搬送装置(ベルトコンベヤ直列)
ベルトコンベヤに載せる荷物の重さが変わっても速度が落ちません。そのため、ベルトコンベヤを直列で使用した場合に、荷物の引渡しがスムーズにおこなえます。 -
なるほど、こういう装置には対負荷速度変動率が小さいものを選ぶことが大事なんですね。
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今回のお客様は価格も気にされているんでしょ?サーボモーターよりもブラシレスモーターの方が安価だから、ブラシレスモーターを紹介するのはいい案よね。
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わかりました。まずは対負荷速度変動率が小さく、操作が一番かんたんなBMUシリーズを紹介してみます。
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その調子よ、がんばってご紹介してみて。学くんも負荷が加わっても仕事のスピードは落とさないでね。
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・・・。わ、わかりました!