アブソリュートシステムって何ですか?


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あら学くん、難しそうな顔してどうしたの?
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お客様から「アブソで使いたい」と言われて調べているところなんですけど、そもそもアブソという言葉が分からないんです・・・
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最近よく聞くわね。「アブソ」というのは、「アブソリュートシステム」を略した言い方なのよ。アブソリュートシステムとインクリメンタルシステムはよく比較されるわね。
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アブソリュートシステム?インクリメンタルシステム?
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仕方ないわね、2つの違いのポイントは電源がOFFのときに位置情報を保持しているかどうかなのよ。
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モーターの位置情報と言ったら・・・エンコーダですよね。
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そう、エンコーダね。まずはインクリメンタルシステムの仕組みを見てみましょうか。下の図を見てみて。
インクリメンタルシステム -
これを見ると、電源がONのときはエンコーダに電気が供給されているので位置情報が保持できていますが、電源がOFFだと・・・エンコーダに電気が供給されなくなるから位置情報が消失してしまうってことですね。
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そういうこと。次にアブソリュートシステムの方を見てみましょうか。仕組みについては下の図を見てね。ドライバの電源がOFFになってもバッテリから電源を供給しているから、位置情報を保持しておけるのよ。
アブソリュートシステム -
なるほど、でもお客様はこの2つのシステムをどういう風に使い分ければいいんでしょうか。
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仕組みが分かっても、お客様にとってどんなメリットがあるのか分からなければ意味がないわね。2つのシステムを簡単にまとめた表があるから次の表を見てみて。
メリット | デメリット | |
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インクリメンタルシステム | バッテリを使わない | 位置情報を管理するためには、電源投入時、原点復帰運転が必要 |
アブソリュートシステム | 原点復帰運転なしで位置情報を管理できる | バッテリが必要 |
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アブソリュートシステムは、電源OFFの状態でも位置情報を覚えているので、原点復帰運転がいらないんですね。
ということは・・・装置に電源を入れて、すぐに動かすことができますね。 -
そうね、タクトタイムの短縮につながるわね。それから、原点復帰運転が不要になることで原点センサやリミットセンサが不要になる場合もあるわ。
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センサが不要になるってことは、コストダウンや省配線につながるってことですね!
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ただ、バッテリを使う場合には注意が必要よ。バッテリには寿命があるから定期的にメンテナンスが必要で、コストや交換の手間がかかってしまうわ。バッテリを外すとエンコーダへの電気が供給されなくなって位置情報が失われてしまうの。モーターとドライバを切り離した際にも再度原点調整が必要になる場合があるわ。
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なるほど、インクリメンタルシステムとアブソリュートシステムの仕組みや使い分けがよく分かりました。
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良かったわ。それじゃあアブソが理解できたところで、学くんにプラスαの情報を教えてあげるわね。ステッピングモーターで、バッテリ不要のアブソリュートセンサが搭載されたAZシリーズは知ってる?
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アブソリュートなのにバッテリ不要?
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AZシリーズはモーターの後ろに新開発のABZOセンサ※が搭載されていて、バッテリがなくても位置情報を管理できるのよ。
- ※ ABZO(アブゾ)センサ:機械式多回転アブソリュートセンサ
AZシリーズ -
え!!それはすごいですね。それならバッテリの交換も必要ないし、制御盤と機構部を別々に運んでも原点調整をしなくてよくなりますね。早速お客様に紹介してみます!AZシリーズって賢いんですね。
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学くんも私がいなくても製品の情報はしっかり管理しておいてね。
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はい・・・!AZシリーズを見習ってがんばります!