このコラムでは、ファンの最大風量と最大静圧について、それぞれの状態のモデルを用いてわかりやすくご紹介します。
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お客様からファンモーターのことで質問されているんですけどカタログにある最大風量、最大静圧はなにか?と聞かれてまして…。
なんとなくイメージはできますが、うまく説明ができなくて…。
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確かに難しいわね。まず風量から考えてみましょう。
風量の単位は[m3/min]なの。例えば1[m3/min]は1分間に1m3の体積の風を送れるっていう意味ね。
つまり風量とは風の流れる量のことよ。
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そういうことかぁ。じゃあ、静圧はどう考えたらいいですか。
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静圧の単位は[Pa]で、空気の圧力のことをいっているの。
ファンの風量や静圧の関係は、下図の風量-静圧特性グラフで表せるからこれで簡単に説明するわね。
風量-静圧特性グラフ
①は箱の吐き出し口が全開になっている状態でファンの風をさえぎるものがない状態よ。だから吸い込んだ風は全て吐き出されるの。
ここを最大風量と言って静圧は0[Pa]になるわ。
最大風量
③は箱の吐き出し口を完全にふさいだ状態で空気を送ると箱の中の圧力が高くなっていくわ。この状態が続くとファンを回転させても、これ以上風は入らなくなるの。ここを最大静圧と言って風量は0[m3/min]になるのよ。
最大静圧
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へぇ~、そういうことですか。最大風量と最大静圧はよく分かりました。そうすると②ってどんな状態なんですか?
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②は吸い込み口に対して吐き出し口が狭いから風が流れにくくなり、風量は最大風量よりも減ってしまうの。代わりに中の空気の圧力が増えていくから、静圧は上がっていくのよ。
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風量と静圧の関係ってそうなっているんですね。
制御盤内の冷却でプロペラファンがよく使われますけど、吐き出し口を十分大きくとったほうがよさそうですね。
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確かにそうね。ただ、吐き出し口を十分取っても最大風量の風が流れないこともあるから気をつけてね。
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制御盤内の冷却を考えた場合、実装密度もポイントになるわ。
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たとえば、制御盤内の部品が少ないと、風の通り道が広く取れるから、風が流れやすく①に近い状態になるわ。
部品が少ないとき
逆に部品が多いと、制御盤内の風の通り道が狭くなるでしょ。風が流れにくくなるから②に近い状態になるのよ。
部品が多いとき
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なるほど、吐き出し口の大きさだけでなく制御盤内にどれだけ風の流れを妨げるものがあるかを考えないといけないんですね。
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そうよ!制御盤内の冷却の場合、実際に流れる風量が最大風量の半分くらいになることを考慮して、必要な風量の2倍くらいのファンを選んだほうがいいわね。
ところで学くん。今回のような風の説明って難しくない?
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そうよね。でもね、実は煙を使って風の流れを可視化した動画があるの。
吸い込み口の大きさや、仕切り板の有無によって風の流れがどう変化するか分かるわよ。どれも知っておくと効果的にファンを使えるわ。
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これは知りませんでした…。ありがとうございます。
風の流れについてお問い合わせをいただいた際は、これらの動画も積極的にご案内します。