モーターの寿命を決める要因って何ですか?


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モーターを長年使用しているお客様から「モーターの寿命は何が原因なの?」と問い合わせがありました。
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そもそも寿命って何だと思う?
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動かなくなったら寿命ですか?
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ちょっと違うわ。仕様でうたっている速度・トルク・精度などが発揮できなくなったら寿命よ。
図1 経年劣化による速度とトルクの変化 -
なるほど。モーターは動いていても、寿命を迎えている場合があるということですね。
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そうね。モーター・ギヤヘッド・回路製品があるけど、これらの寿命に関わる要素となる部品は何か、分かるかしら?
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この前勉強しました!
モーター・ギヤヘッドだと軸受や歯車、回路製品だとアルミ電解コンデンサなどの電子部品です。図2 寿命の要因となる主な要素 -
やるじゃない学くん。
じゃあ、モーター・ギヤヘッドから詳しく説明するわね。軸受や歯車は、動かすときに一番負荷がかかる部品なのよ。負荷がかかるから、摩耗しやすいの。摩耗を少なくするために、グリースを使って滑りやすくしているんだけど、グリースは熱で劣化してしまうの。図3 モーターの内部構造 -
なるほど、グリースが劣化してしまうと滑りが悪くなって、仕様通りのパフォーマンスが出なくなるんですね。
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その通りよ。ただ寿命の要因って1つじゃないのよ。例えば、組み付け精度不足や許容慣性をオーバーしているなど他の要因も考えられるから、必ずチェックしてもらってね。
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はい!
回路製品についても教えてください。電子部品が寿命の目安になる、とは具体的にどういうことですか? -
回路製品は、電子部品の劣化が寿命に影響してくるの。特に電解コンデンサは多くの電気を蓄え、放出を頻繁に繰り返すから、負担が大きいのよ。この電解コンデンサも高温下で劣化し、寿命が短くなるの。
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グリースだけでなく電子部品も温度上昇を抑えることが重要なんですね。
ところで、温度がどのくらい上がると寿命が変わってくるのでしょうか? -
軸受のグリースは、軸受温度が15℃上昇するごとに、寿命が半減するという特性があるのよ。電解コンデンサも周囲温度が10℃高くなると、寿命が半減する特性があるわ。
図4 温度と寿命の関係 -
では、どうしたら温度上昇を抑えられるのでしょうか?
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熱源を冷却する方法と、熱源の発熱量を抑える方法があるわ。熱源はファンで冷却すればいい、ってことは分かるわよね。じゃあ、発熱量を抑えるためには、どうすればいいと思う?
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えっと…
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モーターに入力された電力エネルギーは、そのすべてが動力に変わるわけではないのよ。一部のエネルギーは損失になって、この損失が熱になるの。
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なるほど!損失が少なくなれば発熱も小さくなって、温度上昇を抑えられるんですね。損失が少ない…つまり効率が高いモーターを選べばいいですね。
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そうね。高効率のモーターを使う方法以外にも、ステッピングモーターであれば必要トルクに合わせて電流値を設定するという方法もあるわ。
図5 温度上昇を抑える方法 -
電流値の設定については以前「ステッピングモーターの発熱、どう抑えたらいいですか?」で教えてもらったので覚えています!
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復習しておいてね。今回学んだ発熱と寿命の関係性も、ばっちりお客様にご案内できるわね。
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はい!
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寿命って、お客様の装置の保守・点検時期を決めるのに重要な要素よね。技術資料では、オリエンタルモーター製品における寿命の考え方が詳しく説明されているわ。寿命の目安時間や推定計算方法も載っているから、確認してみてね。
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わかりました!寿命マスター目指して勉強します。