三相インダクションモーターで瞬時正逆運転はできますか?


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瞬時正逆運転っと…。この結線図を回答しようっと。
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あら学くん、お問い合わせね。瞬時正逆ということはレバーシブルモーターかしら。
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いいえ、三相インダクションモーターです。以前僕がご紹介しました。コンベヤ用なんですが仕様変更で、戻す時に停止しないで、瞬時に逆転することになったそうなんです。 なので、その際の結線について回答しようと思います。
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どんな回答をするのかしら?
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三相電源のR、S、Tいずれか2線を入れ替えてくださいと回答します。新人の頃に教わりました。
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それは一度停止してから逆転する場合ね。三相インダクションモーターは回転方向を瞬時に切り替える運転をおすすめしていないわよ。
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えっ?何でですか?
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理由は大きく2つあるわ。
①ギヤの破損
②電源短絡のリスク
まず①ね。逆転の瞬間、モーターは反転しようとするけど、ワークは同方向に回り続けようとするわよね。 相反する方向にトルクが働くからギヤの強度がもたず破損してしまう可能性があるのよ。 -
知らなかった…。危うく大丈夫ですと回答するところでした。
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実は三相は単相に比べて起動トルクが大きいの。 逆転の瞬間は回転速度がゼロだからその時の発生トルクは起動トルクよね。この影響が大きいの。
ACモーターのトルク特性図 -
確かに特性図を見ると、三相モーターの方が高いですね。では、②の電源短絡のリスクとはどういうことでしょうか。三相モーターで回転方向を切り替えるとなると、結線を入れ替えますよね?
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その通りよ。でも、そこが重要なの。 電磁開閉器などを2つ使って瞬時に入れ替えるんだけど、その時同時にONすると電源が短絡してしまうわよね。 するとブレーカが落ちて装置を止めてしまう可能性があるの。
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でも、それって単相レバーシブルモーターでも同じじゃないですか?
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単相モーターの場合は接点がひとつだから、そのようなリスクはないのよ。
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単相モーターの結線図 -
三相モーターの結線図
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そうなんですね。
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ただ可逆式電磁開閉器というものを使うのも手ね。 2台の電磁開閉器を使って切り替えるものなんだけど、インターロックと言って2つの接点が同時にONできない構造になっているの。だから、短絡の心配がなくなるわ。丸シャフトのモーターであれば、ギヤの破損の心配はないから、ご紹介できるわね。
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あのー…照代さん。今回の場合は、お客様に「できません」という回答になってしまいますよね。
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そうね。ただいくつかご提案できる使い方はあると思うわ。まずは短時間で良いので停止時間を設けてもらうことね。
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逆転させたい時に一度停止させてから結線を切り替えるということですね。
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インバータとの組み合わせならモーターはそのままで使えますね。
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どうしても瞬間的な逆転が必要な場合は単相200Vのレバーシブルモーターに変えていただく方法もあるわよ。三相から2本使用することで単相モーターを使用できるわ。その場合には、モーターの定格時間が異なるから注意してね。
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分かりました。単相レバーシブルモーターに変えたいとお客様から言われた場合には注意します。
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あっ!いけない!モーターの台数が多い場合には電源のR、S、Tの1カ所に偏らないように使用する必要があるわよ。
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多くのアドバイスありがとうございます。これで、お客様への回答の備えはばっちりです!
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良かったわ。
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では、僕は瞬時に切り替えてお客様に回答しに行ってきます。
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そうね。お客様の前では、なんでも回答できて、頼れる学くんでいてね。