STO機能って何ですか?

おしえて!照代さん
おしえて!照代さん

このコラムでは、STO機能について紹介します。

  • 学くん

    STOか…。

  • 照代さん

    学くん、どうしたの?

  • 学くん

    お客様が自動設備の製作を検討していて、機能安全認証品についての問い合わせがあったのですが、そもそもSTOって何でしょうか?

STO機能とは

  • 照代さん

    電子回路やソフトウェアを使って安全に制御する技術を機能安全と呼んでいるのだけど、STOは機能安全の技術を使ってモーターの動力を遮断するドライバの機能のことよ。Safe Torque Offの略なの。以前は、スイッチやコンタクタ(電磁接触器)といった長い歴史があって信頼性の高い電気機械式の部品で作った回路のほうが安全性が高いと考えられていたの。でも、電気機械式だと部品が大きかったりプログラムが組めないから複雑な制御ができなくて、安全と使いやすさを両立する設計がしにくかったわ。機能安全のための国際規格が発行されてからは、それに従えば電子回路やソフトウェアを使って安全に制御できるようになったの。だから、最近、さまざまなところに使われるようになってきたわ。自動車の自動ブレーキなんかも機能安全を使ってるのよ。

  • 学くん

    そうなんですね。今回お問い合わせいただいたお客様は、ロボットを検討されています。

ロボット使用時の安全対策

  • 照代さん

    ロボットの場合、ロボット稼働中に人の安全を確保するため囲いと扉でガードする必要があることがあるわ。ただし、ロボットの調整などで扉の中に人が入る場合もあるから、誤動作などによって人に危害が及ばないための安全機能が必要なの。対策については、ドライバの機能によって変わるのよ。

    ①安全機能(STO機能:Safe Torque Off)を搭載しないドライバを使用する場合

    ドライバの主原電を電気機械式部品を使って遮断
    ドライバの主原電を電気機械式部品を使って遮断

    ②安全機能(STO機能:Safe Torque Off)を搭載するドライバを使用する場合

    STO機能でモーターへの電力供給だけを遮断(ドライバの主電源は供給したまま)
    STO機能でモーターへの電力供給だけを遮断(ドライバの主電源は供給したまま)

    ①は、ドライバが故障したり誤動作してもロボットが動き出さないように、ドライバの主電源を遮断して安全を確保する方法よ。②はドライバの安全機能で安全を確保するの。だから、機能することによる安全、「機能安全」と呼ぶのよ。

  • 学くん

    なるほど。機能安全ってそういうことなのですね。AZシリーズにはSTO機能が搭載されていると聞いたことがあります。

  • 照代さん

    そうなの。AZシリーズはSTO機能を搭載しており、機能安全の第三者認証を取得しているの。お客様の装置全体で安全システムの対応が容易になるわね。STO機能があるとコンタクタが不要になり、配線の容易さや省スペース化にもメリットがあるわ。

  • 学くん

    なるほど~。

ロボット使用時の安全対策

  • 照代さん

    機能安全の認証では、安全度のレベルをSIL( IEC61508)またはPL(ISO13849-1)で決めるの。ちなみに、お客様の装置をどのくらい安全にすべきかは、ISO13849-1の場合、PLr (Performance Level required:要求されるパフォーマンスレベル)で表すことになっていて、aからeまで5段階に区分されているのよ。以下の図を見てみて。危険にさらされる頻度や危険を回避できる可能性によって、PLrのレベルが変わるの。オリエンタルモーターのAZシリーズ(AC入力タイプ)は一番性能安全性の高い”e”で認証されているのよ。

    PLrのパフォーマンスレベル図
  • 学くん

    AZシリーズのドライバは安全性が高いんですね。

  • 照代さん

    そうなの。ただし、レベルが高ければ良いということでなく、お客様の装置に合った安全対策をすることが大切だから、その点も覚えておいてね。

  • 学くん

    分かりました!

  • 照代さん

    機能安全というと「ロボット」や「AGV」を扱う設備というイメージがあるかもしれないけど、たとえば食品機械についても同じような規格があるのよ。肉類を加工する機械としてスライサが使われるのだけど、安全装置を付けないと人が怪我をしてしまうわね。安全カバーが取り外されているときは、刃が作動しない構造とする必要があるの。JIS B 9653では、PLを”b”以上に設定するように決められているわ。

  • 学くん

    へぇ~。

  • 照代さん

    今回はAZシリーズの話をしたけど、BLVシリーズRタイプも近日中にSTO機能の第三者認証取得の予定があるのよ。オリエンタルモーターの製品もどんどん進化していくわね。学くんも負けずに進化を続けてね!

今回のポイント

  • STOは機能安全の技術を使ってモーターの動力を遮断するドライバの機能のこと。機能安全のための国際規格が発行されてからは、それに従えば電子回路やソフトウェアを使って安全に制御できるようになり、さまざまなところに使われるようになってきた。
  • PLr (Performance Level required:要求されるパフォーマンスレベル)は高ければ良いということではなく、お客様の装置に合った安全対策をすることが大切

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