サーマルプロテクタについて教えてください。


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照代さん! 今、お客様からのお問い合わせで、運転していたモーターが突然止まっちゃったっていうんです。ご使用のものは、KⅡシリーズの25Wインダクションモーターみたいですね。急に動かなくなっちゃうなんて・・・。考えにくいですよねぇ?
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そうねぇ、インダクションモーターは、連続定格ということで、カタログにも書いてあるでしょ。24時間動かし続けても大丈夫っていう意味なのよ。通常、仕様範囲内のトルクで運転している場合は、モーターが止まっちゃうなんて考えられないわね。

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そうですよね。あっ! でもそういえば、お客様が「誤って、装置に物が挟まってしまって、モーターのシャフトがロックされた状態になってしまった」って言ってたなぁ。
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それが原因じゃないかしら!?KⅡシリーズの場合、15W以上のモーターには、サーマルプロテクタが付いているのは知ってる?
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??
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カタログだと、TPの表記があるものは、サーマルプロテクタがモーターに内蔵されているものなのよ。
(6Wのモーター〔KⅡシリーズの場合〕は、インピーダンスプロテクトにより過熱保護※されています。- ※ 過熱保護については、各国の法令・規格「モーター、ファンの過熱保護」をご参照ください。
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サーマルプロテクタ?
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モーターに内蔵されている過熱保護装置のひとつで、モーター巻線温度が一定の温度を超えると、自動的に接点を切って、モーターを停止させるの。
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へぇー。サーマルプロテクタって何のためについているものなんですか?
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それはね、モーターが過負荷などで拘束されたり、周囲温度が急激に上昇したり、何らかの原因で、入力が増加すると、モーターの温度は急激に上昇するでしょ。その状態のまま放っておくと、モーター内部の絶縁性能が劣化して、寿命を縮めたり、巻線が焼損してしまったりする可能性があるのよ。そういった状況からモーターを保護するために、過熱保護装置を備えているの。海外の安全規格に対応したモーターには必ず備わってるわね。
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そっかー。発熱で、モーターが焼損したりしないように、保護の役割をしてるんですね。
でも、照代さん、さっき、一定の温度を超えるとサーマルプロテクタが働くっておっしゃってましたけど、どれくらいの温度でサーマルプロテクタが働くんですか? -
KⅡシリーズの場合、モーター内部の巻線温度が130℃±5℃でopen、その後、温度が下がってきて、接点がcloseするのは、85℃±20℃という仕様なの。でも、機種によって動作温度が異なるものもあるから、詳しくは各モーターの過熱保護装置の仕様を確認していただいた方がいいわね。
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そうですね。
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さっき、学くんがお問合せを頂いたお客様の場合、モーターのシャフトがロックされた状態が続いたのよね。そうすると、モーターが過負荷で異常に発熱し、一定の温度を超えてしまったんじゃないかしら?
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確かに、その可能性が高そうですね。
あれ?でも照代さん、モーターを停止した状態でそのまま置いておくと、自然に温度が下がりますよね。いったん接点が切れてモーターが停止した後は、また自動的に運転を始めるっていうことなんですか? -
そうよ。でも、お客様によっては、自動的に復帰しない方が良い場合もあるわよね。 そういう時には、ブレーキパックのSB50Wを合わせて使っていただくと良いわよ。SB50Wにはサーマルプロテクタオープン検出機能がついていて、自動的に再始動しないようになっているの。だから、安心して使っていただけるわよね! あと、SB50Wのサーマルプロテクタオープン検出機能は、モーターのサーマルプロテクタが動作して、モーターが停止した時には、アラーム信号を出力するから、その信号を活用しても良いわね。
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そうかー。
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今回のお客様にも、ご提案してみたらどうかしら?
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そうですね! 早速、お客様とお話してみます!