バッテリ不要多回転アブソリュートセンサの開発

2014年4月30日時点の情報です。

近年、ステッピングモーターをはじめとする高精度な位置決め駆動を行うモーターには一層の高精度化と高い信頼性が要求されています。そこで、クローズドループ制御を行う位置決めモーターにはバッテリバックアップ方式のアブソリュートシステムを実装されています。しかし、バッテリは定期的な交換が必要であるためメンテナンスを必要としないバッテリレス多回転アブソリュートエンコーダが求められています。このような背景からバッテリを必要としない多回転アブソリュートエンコーダ「ABZO(アブゾ)センサ」を開発し、そのエンコーダを採用したクローズドループステッピングモーターAZシリーズを発売しました。

目次

  • 1. はじめに
  • 2. 「ABZOセンサ」の位置検出原理と構造
  • 3. ABZOセンサの耐久性
  • 4. ABZOセンサを採用したAZシリーズの特長
  • 5. まとめ
お知らせ ここでは、「1. はじめに」の内容のみを掲載しています。
続きは以下よりPDFをダウンロードのうえ、ご覧ください。

1. はじめに

近年、高い生産性が求められる装置などには主電源が切られても位置情報を保持し続けるシステムが求められることがあります。そのような装置に使われるモーターには、バッテリを使用して多回転位置情報を保持し続けるバッテリバックアップ方式エンコーダが広く使われています。オリエンタルモーターでもサーボモーターユニット、およびクローズドループステッピングモーターユニットαSTEPなどにこのシステムを使用しています。
しかし、主電源喪失後の位置情報の保持期間は、バッテリの能力に依存し、エンコーダを使用したモーターでは、フル充電状態のバッテリで2週間程度が限界です。通常の使用方法であれば、バッテリが完全放電するまで主電源を切ったままにすることは少ないため、充電する手間はそれほどないと考えられます。しかし、長期休業や海外への輸送などでは復旧時に原点再調整が必要となる場合があります。さらに、近年ではバッテリの輸送に関する規制が厳しくなりバッテリを接続した状態での輸送は困難です。
また、バッテリの寿命は3~4年程度であるため、定期的な交換が必要であり、そのたびに装置原点の再設定が必要となります。
バッテリバックアップ方式はこれらの問題があるため、バッテリを必要としない多回転アブソリュートエンコーダが求められ、歯車機構を用いた機械式の多回転アブソリュートセンサが考案されました。しかし、機械式のセンサは構造が複雑で大型になり、高価なセンサとなってしまうため、いまだに主流はバッテリを使用したバッテリバックアップシステムとなっています。そこでオリエンタルモーターは、高精度樹脂部品の採用と、小型化にこだわった機構設計を行いました。さらに、近年急速に進歩している磁気センサを併用することにより、小型で安価な多回転アブソリュートセンサの開発に成功しました(特許出願中)。オリエンタルモーターはこのセンサに「ABZO(アブゾ)センサ」という愛称を付けています(図1参照)。

ABZOセンサ外観
図1 ABZOセンサ外観

このABZOセンサを搭載した「AZシリーズ」は、αSTEPの「チューニングレス」「高効率」などの特長を継承しつつ、バッテリ不要で多回転アブソリュートシステムを実現できるモーターです(図2参照)。
ここでは、このABZOセンサおよびAZシリーズについて説明します。

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