ブラシレスモーターによるカーボンニュートラルへの貢献
2022年12月28日時点の情報です。
2015年のCOP21で採択されたパリ協定では、「世界の平均気温の上昇を、産業革命以前に比べ2°Cより十分低く保ちつつ(2°C目標)、1.5°Cに抑える努力を追求する(1.5°C努力目標)」が目標として掲げられ、各国で今世紀後半までにカーボンニュートラル実現に向けた活動が進んでいます。カーボンニュートラル実現のためには、クリーンエネルギーの利用や排気CO2の再利用などと並び、電力消費量の削減が必須となります。世界の電力消費量に目を向けると、実に53%はモーターが占めており、高効率なモーターに置き換えていくことが、世界の電力消費量の削減およびカーボンニュートラルの実現につながります。本稿では各種モーターの中でも、より高効率なブラシレスモーターの電力消費量削減効果を解説します。
目次
- 1. はじめに
- 2.各モーターの構造および駆動方式と損失
- 2.1.インダクションモーター
- 2.1.1.モーターの構造
- 2.1.2.インダクションモーターの可変速駆動
- 2.2.ブラシレスモーター
- 2.2.1.モーターの構造と駆動方式
- 2.1.インダクションモーター
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3.各モーターの効率比較
- 3.1.効率測定方法
- 3.2.同一出力時の消費電力比較
- 3.3.効率マップによる比較
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4.コンベアを事例とした消費電力の比較
- 4.1.一定速駆動時の消費電力
- 4.2.回転速度変化による消費電力への影響
- 5.モーターサイズと質量比較
- 6.ブラシレスモーターによるファンの高効率化
- 7.まとめ
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1. はじめに
2015年のCOP21にて採択されたパリ協定で設定された、世界の平均気温上昇の2°C目標、1.5°C努力目標を達成するために、すべての締約国が温室効果ガスの削減目標を掲げ活動しています。日本では、2050年のカーボンニュートラル化を念頭に、2030年までには温室効果ガスの排出量を2013年比で46%削減を目標としています。COP21で採択された「持続可能な開発目標 (SDGs)」では、目標1、2、11、13 に気候変動によって生じるリスクの軽減が掲げられています (図1参照) 。

このように、世界規模で地球温暖化防止活動が求められており、目標達成にはカーボンニュートラル実現が不可欠です。産業分野でカーボンニュートラルを実現するためには、CO2排出量の少ない再生可能エネルギーの利用、CO2の貯蔵と再利用、および電力消費量の削減によるCO2排出量の削減などが必要です。特に電力消費量の削減に着目すると、世界の電力消費量のうち53%はモーターが占めており(図2参照)、高効率なモーターに置き換えていくことがカーボンニュートラルに直結します。
電気機器に対しては、エネルギー効率に関する規制が各国で導入されており、世界全体の電力消費量の過半数を占めるモーターも規制対象となっています。モーターの電力消費量のうち、コンプレッサー・ポンプ・ファンモーターなど、連続運転で使用されるモーターが全体の70%を占めており(図2 参照) 規制対象が現在の誘導電動機から、同期電動機にも広がりつつあります。
本稿では、オリエンタルモーターで販売しているインダクションモーター(誘導電動機)とブラシレスモーター(同期電動機)を比較し、ブラシレスモーターを採用することによる消費電力削減効果と、カーボンニュートラル化にどのように貢献するかを解説します。

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