テクニカルマニュアル ファン&サーマルマネジメント編

2020年6月時点の情報です。

ファンは電気を風力に変える装置で、換気、冷却、物体の吸着など多くの用途に用いられています。
コンピュータや電子機器など、電力を消費する機器は熱を発生します。近年、これらの機器の小型化が進み、装置に搭載できる点数が増えてきました。それに伴い装置から発生する熱も増加するようになり、従来の自然空冷では装置を適切に冷却することが難しくなってきました。また、電子機器が使われる環境も広がりを見せ、低温や結露への対策も不可欠となっています。
このテクニカルマニュアルでは、ファンやヒーターをより良くお使いいただけるよう、構造・原理・諸特性について解説します。

目次

まえがき

  • 1.サーマルマネジメント
    • 1.1.適切な温度管理が求められる理由
    • 1.2.サーマルマネジメントを実現する商品構成
    • 1.3.装置の稼働環境とサーマルマネジメント
  • 2.ファンモーターの種類と構造
    • 2.1.ファンモーターの種類
    • 2.2.ファンモーターの構造と送風原理
    • 2.3.付加機能
  • 3.ファンモーターの基礎知識
    • 3.1.ファンモーターの回転原理
    • 3.2.圧力損失とシステムインピーダンス
    • 3.3.風量-静圧特性
    • 3.4.風量-静圧特性の測定方法
    • 3.5.ファンモーターの出力
    • 3.6.ファンモーターの設置方法の違いによる特性の変化
  • 4.ファンモーターの騒音
    • 4.1.騒音とは
    • 4.2.騒音に関する基本用語
    • 4.3.1/3オクターブバンド周波数分析
    • 4.4.騒音の合成.
    • 4.5.距離と騒音
    • 4.6.騒音の低減
  • 5.ファンモーターの長寿命化技術
    • 5.1.信頼性と寿命
    • 5.2.ファンモーターの構造と玉軸受の寿命
    • 5.3.転がり疲れ寿命
    • 5.4.グリース寿命
  • 6.ファンモーターの効果的な使い方(流路)
    • 6.1.ファンモーターの種類
    • 6.2.ファンモーターの取り付け方向
    • 6.3.仕切り板
    • 6.4.ファンモーター付近の穴や隙間
    • 6.5.ファンモーターから部品までの距離、エアチャンバー
    • 6.6.ファンモーターから壁までの距離
  • 7.ファンモーターの選定
    • 7.1.計算による必要風量の求め方
    • 7.2.測定による必要風量の求め方
    • 7.3.ファンモーターの選定例
    • 7.4.ブロワの選定例(ダクト排気の場合)
    • 7.5.まとめ
  • 8.ヒーター
    • 8.1.ヒーターの主な用途
    • 8.2.ヒーターの種類と特徴
    • 8.3.加熱方式による分類
    • 8.4.ヒーターの選定計算
    • 8.5.まとめ
  • 9.周辺機器
    • 9.1.周辺機器の圧力損失
    • 9.2.フィンガーガード
    • 9.3.フィルター
    • 9.4.スクリーン
    • 9.5.ブロワ用取付金具
    • 9.6.ダクト継ぎ手
    • 9.7.温度スイッチ
  • あとがき
お知らせ ここでは、一部の内容のみを掲載しています。
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1 サーマルマネジメント

精密機器や電子機器は電力を消費し、同時に熱も発生しています。これらの機器から発生する熱が原因で装置全体の過熱が引き起こされると、電子機器の破損や装置の故障を招くおそれがあります。その結果、装置だけでなく生産システム全体が停止するなど、過熱による影響は小さくありません。また、低温による結露や凍結なども、装置 の稼働に影響を及ぼします。

このような熱や湿度によるトラブルを未然に防ぎ、24 時間365 日安全に装置を稼働できる商品やサービスを、弊社ではサーマルマネジメントシステムと呼んでいます。

1.1 適切な温度管理が求められる理由

サーマルマネジメントで温度や湿度を管理するメリットには、主に次のようなものがあります。

  • 温度コントロール
  • 予知保全・予防保全による装置の安定稼働
  • 機器のトラブル削減
  • 消費電力の削減
  • 機器の長寿命化
  • メンテナンスコストの削減
サーマルマネジメントの効果
図1.1 サーマルマネジメントの効果

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