αSTEP/ステッピングモーター 仕様について

仕様項目の説明

励磁最大静止トルク

モーターが通電状態(定格電流)で停止しているときの最大保持トルク(保持力)です。(ギヤードタイプの場合、ギヤ部の許容強度を考慮した値となります。)
製品によっては、モーター停止時に自動カレントダウン機能により値が低下します。
実際の値は停止時保持トルクで確認してください。

ローター慣性モーメント

モーター内部の回転子(ローター)の慣性モーメントです。モーターに必要なトルク(加速トルク)を求める際に必要となります。

定格電流

モーターの温度上昇から決まり、停止時に連続でモーター巻線に流すことのできる電流値のことです。ドライバ電流設定は、基本的に定格電流に合わせてご使用ください。

基本ステップ角度

ドライバにパルス信号が入力されるたびにモーターが動く角度です。モーターの構造や励磁方式により異なります。

減速比

モーターからの入力回転速度とギヤ出力軸の回転速度の比をいいます。例えば減速比10は、モーターからの入力回転速度が10r/minのとき、ギヤ出力軸は1r/minで回転するということです。

許容トルク

定速運転時にギヤ出力軸に加えられるトルクの最大値です。
TSギヤード、PSギヤード、PNギヤード、HPGギヤード、ハーモニックギヤードタイプ以外のギヤードタイプでは、加速・減速運転時のトルクも許容トルク以下でお使いください。

瞬時最大トルク (TSギヤード、PSギヤード、PNギヤード、HPGギヤード、ハーモニックギヤードタイプ)

慣性負荷の起動・停止などの加速・減速運転時にギヤ出力軸に加えられるトルクの最大値です。

停止時保持トルク

通電時 : 自動カレントダウン機能がはたらいた状態(出荷時設定)での保持トルクです。
電磁ブレーキ : 停止時に電磁ブレーキが発生できる静摩擦トルクです。(電磁ブレーキは無励磁作動型です。)

速度範囲

ギヤ出力軸で運転できる速度の範囲です。

バックラッシ

モーター軸を固定したときのギヤ出力軸の遊びのことです。
両方向から位置決めするときは位置決め精度に影響します。

電源入力

電流入力の電流値はドライバ最大入力電流値です。(回転速度により異なります。)

励磁方式

ドライバによってモーターのステップ角度を変更できる機能があります。
ここでは設定時に駆動可能なステップ角度を記載しています。(マイクロステップの場合は別に記載しています。)

設定速度範囲

モーターとドライバの組み合わせで設定できる回転速度の範囲です。

速度精度

ドライバの個体差、温度、経年変化による運転速度の誤差です。

回転速度-トルク特性の見方

モーターを運転したときの回転速度に対するトルクの関係を表した特性図です。
モーターを選定するときに必ず使用する特性で、横軸はモーター出力軸の回転速度を、縦軸はトルクを表しています。

特性図(回転速度とトルクの関係)

回転速度-トルク特性はモーターとドライバによって決まり、使用ドライバの種類によって大きく異なります。

① 励磁最大静止トルク(Holding Torque)

モーターが通電状態(定格電流)で停止しているときの最大の保持トルク(保持力)です。
製品によっては、モーター停止時に自動カレントダウン機能により値が低下します。
実際の値は停止時保持トルクで確認してください。

② プルアウトトルク(Pullout Torque)

各回転速度で発生することができる最大トルクです。
モーターを選定する場合は必要トルクがこの曲線の内側に入っていなければなりません。

  • ∗ クリーンダンパまたは慣性負荷を取り付けていない場合のプルアウトトルクのイメージです(参考)。

③ 最大自起動周波数(fs)

モーターが摩擦負荷、慣性負荷が0のとき、瞬時(加減速時間なし)に起動・停止できる最大のパルス速度です。
これ以上のパルス速度でモーターを駆動する場合には、徐々に加減速する必要があります。慣性負荷がモーターに付くことによってこの周波数は低下します。

慣性負荷-自起動周波数特性

下図はステッピングモーター RKⅡシリーズの回転速度-トルク特性です。

RK2シリーズの特性図(回転速度とトルクの関係)