モーターのIPって何?


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あら、学くん。カタログとにらめっこしてどうしたの?
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実は、お客様から、コンベア用にIP65以上に対応したスピードコントロールモーターを紹介してほしいとご相談いただいたんですけど、IP65ってなんだかわからなくて・・・。
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なるほどね、IPは防塵や防水の等級を表す規格のことよ。
まず、IPの保護等級を表すIPコードについて説明するわね。IPコードは、IEC 60529およびIEC 60034-5という国際規格で、試験方法を以下のように規定しているの。
保護の等級について一方を特定しないで示す場合には、IPX5、IP4Xのようにその記号をXで表します。
表-3 IPコードの意味および試験条件
IPコード | 危険な部分への人体の接触保護、内部への固形異物侵入の保護 | |
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第一特性数字 | 保護の程度 | 試験条件 |
IP0X | なし | なし |
IP1X | 手の接近からの保護 | 直径50mm以上の固形異物が侵入しない |
IP2X | 指の接近からの保護 | 直径12mm以上の固形異物が侵入しない |
IP3X | 工具の先端などからの保護 | 直径2.5mm以上の固形異物が侵入しない |
IP4X | ワイヤーなどからの保護 | 直径1.0mm以上の固形異物が侵入しない |
IP5X | 粉塵からの保護 | 正常動作を阻害するような粉塵の侵入が無い |
IP6X | 完全な防塵構造 | 粉塵の侵入が完全に防護されている |
IPコード | 水の浸入に対する保護 | |
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第二特性数字 | 保護の程度 | 試験条件 |
IPX0 | なし | なし |
IPX1 | 垂直に落下する水滴からの保護 | 200mmの高さより3~5mm/分の水滴、10分間 |
IPX2 | 垂直より15°の範囲の水滴からの保護 | 200mmの高さより15°の範囲、3~5mm/分の水滴、10分間 |
IPX3 | 垂直より60°の範囲の降雨からの保護 | 200mmの高さより60°の範囲、10L/分の放水、10分間 |
IPX4 | 全方向の飛まつ水からの保護 | 300~500mmの距離より全方向に10L/分の放水、10分間 |
IPX5 | 全方向の噴流水からの保護 | 3mの距離から全方向に12.5L/分・30kPaの噴流水、3分間 |
IPX6 | 波浪または強力なジェット噴流水からの保護 | 3mの距離から全方向に100L/分・100kPaの噴流水、3分間 |
IPX7 | 一定の条件で水没しても使用可能 | 水面下1m、30分間 |
IPX8 | 水面下での使用が可能 | 使用者と製造者の協議による |
防水試験(IP4、IPX5、IPX6)の様子を、動画でご覧いただけます。
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このように、IPコードは、「危険な部分への人体の接触」「内部への固形異物侵入」「水の浸入」に対する保護について等級で表したものなの。
モーターやドライバのIPコードを知りたいときは、カタログやWEBサイトを参照してみて。
各製品の一般仕様にある「保護等級」で確認できるわよ。 -
IPコードってこんなに細かく決められているんですね。
お客様が言われたIP65って、完全な防塵構造で、全方向の噴流水からの保護ってことだったんですね。
水がかかる用途ということなのかな~ -
そこは注意が必要ね!
IPコードで説明されている水の浸入に対する保護は、万が一水がかかったときに感電や火災を防ぐための基準なのよ。
何分以内に電源を切れば安全かは判断できるけど、水に濡れた状態での使用を考慮しているわけではないから、
水がかかる前提の使い方をして良いかどうかは、IPコードだけでは判断できないのよ! -
そうなんですか!
IPコードで判断できないとなると、常に水がかかるような場合には何を基準にすればいいのかな・・・。 -
常に水がかかるような用途の場合には、水洗い防水試験※をしているかどうかを基準にすればいいわよ。
この試験は、水の浸入に対する短時間のIP試験とは異なり、日常的に水がかかる使い方に対する性能を試験したものなの。- ※ 当社独自の試験です。詳細はこちら
この試験に合格するために、防水仕様を謳っているブラシレスモーターはモーター部やコネクタ部のシール構造を強化しているわ。
例として、IP66のBMUシリーズ コネクタタイプやBLE2シリーズのモーターを見てみましょうか。
■保護構造について
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- ①
- モーター構造
パーツへの嵌合部分にはシール部品(Oリング)を採用し、モーター内部への浸水を防ぎます。
水洗いする用途でお使いいただけます。
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- ②
- コネクタ構造
コネクタ構造はガスケット、Oリングを内蔵し防水性が向上。
コネクタ部分も含めてIP67に適合しています。
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なるほど、防塵や防水には、いろいろな対策が必要なんですね。
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そうなの。
お客様のニーズに合わせて、より良いモーターを選んでね。
水がかかる用途の場合には、IP66/IP67仕様の接続ケーブルもあわせて紹介することを忘れないように!
- 2022年9月 最新の情報に更新しました。