負荷トルクって何ですか？

あら学くん、どうしたの？カタログで何か分からないことがあるのかしら？
あ、照代さん。カタログで負荷トルクという言葉が出てきたんですが、よく分からなくて悩んでいたんです。
負荷トルクね。これは「モーターが動作しているときに常に必要なトルク」なんだけど･･･。
そもそもトルクのことはきちんと分かっているかしら？
トルクは、回転する力のことでしたよね。
そうね。念のため、簡単に復習しておきましょう。
下の図を見てみて。

トルクは、「力： F」と「回転半径： r」の積で求められるの。

仮に、「力： F」が20N、「回転半径： r」が5cmとすると･･･

トルク = 20N × 0.05m = 1.0N・m（ニュートン・メートル）

と計算できるわ。
力の単位は「ニュートン」でしたね。今回例に出てきた20Nって、実際どのくらいの大きさなんでしょうか？
20Nは、だいたい2kgくらいのものを持ち上げるのに必要な力よ。
なるほど。トルクの大きさを具体的にイメージできました！
良かったわ。
それじゃあ次に負荷トルクについてなんだけど、負荷トルクはどんな力が元になっているか分かるかしら？
ええと…すみません、教えてください。
負荷トルクの元になる力は、重力や摩擦力があるわ。下の図を見てね。
あ、そうか。下方向にはたらく力は重力ですよね。
さっきトルクを説明していた図で、発生していた力（20N）は重力だったんですね。

重力って、物体の質量に比例するんですよね。
摩擦力も…重い物体の方が大きい気がするんですが、合っていますか？
そうね。摩擦力も物体の質量に比例して大きくなるわよ。
それから、物体と接する面のすべりやすさも関係しているわ。
なるほど。
負荷トルクの元となる重力と摩擦力は、物体の質量や接する面のすべりやすさで大きさが決まるんですね。
それじゃあ次に負荷トルクについて、実際の機構を例に説明していくわね。

まずは、ベルトコンベアの機構で水平に駆動する場合からいきましょう。
下の図では、どこに負荷トルクが発生していると思う？
進行方向に対して、反対の方向に摩擦力が発生していますね。
その通り。この摩擦力が、さっきトルクを求めたときの「力：Ｆ」になるの。
それから、プーリーの半径が「回転半径： r」になるのよ。
こうやって図にしてみると分かりやすいですね。
続いて、インデックステーブルの場合も見ていくわね。下の図はどうかしら？
ええと、インデックステーブルになるとちょっと複雑ですね。力はどこに発生しているんでしょうか･･･？
この場合は、「ボールローラとテーブルの接触点」に摩擦力が発生しているのよ。
なるほど。この摩擦力が「力：Ｆ」だから･･･。
「回転半径：ｒ」は「モーターの回転軸」から「ボールローラとテーブルの接触点」の距離になるんですね。
その通りよ、学くん。負荷トルクの考え方が分かってきたわね。
はい。でも照代さん。ひとつ気になることがあるのですが…
何かしら？
摩擦って使っていると変化しますよね？すると負荷トルクも変化するんじゃないですか？
あら学くん。いいところに気が付いたわね。その通りよ。経年変化によって摩擦が大きくなって負荷トルクも大きくなるわね。
でもそれじゃあ、設計段階で求めた値より大きくなるから、モーターがロックしませんか？
そう。だから設計段階で安全率を考慮するのよ。モーターのトルクに余裕をみることね。それともうひとつ。負荷率を確認する方法もあるわ。モーターがロックする前に余裕がなくなってきたことが分かれば早めに対処することができるでしょ。
なるほど。その手がありましたね。確か負荷率を表示する機能を持つ製品は…。えーっと…。どれでしたっけ？
もうしっかりしてよ！ブラシレスモーター、αstep、サーボモーターなど色々あるわ。確認方法は製品によって異なるから Q&A「発生トルク（負荷トルク）を確認する方法はありますか？」を見て勉強してね。
はい、分かりました！