ロボットには可動ケーブルが必要?ケーブルの種類による違いって?

おしえて!照代さん
おしえて!照代さん

ロボットのように複雑な動きをする機械には可動ケーブルが最適です。このコラムでは、可動ケーブルを使用するメリットと正しい設置方法について、会話形式でご紹介します。

  • 学くん

    ケーブルの型式はCC050VZF2だな…これでよし。

  • 照代さん

    学くん、何を作成しているの?

  • 学くん

    ロボットにAZシリーズをご検討いただいているんです!今、見積書を作成しているところです。

  • 照代さん

    見積書ね。どれどれ見せて。ん?
    学くん、ロボットなのに標準ケーブルを選んでるわ!今回は可動ケーブルを紹介しないといけないわね。

  • 学くん

    ロボットの場合、標準ケーブルだとダメなんでしたっけ?そもそも標準と可動は何が違うのかな…。

標準ケーブルと可動ケーブルの違い

  • 照代さん

    もう、学くんしっかりしてね。
    ロボットの場合、モーターとつながっているケーブルもロボットの動きに連動して動かされるの。
    標準ケーブルの場合はそのような使い方をすると早めに断線する可能性があるけど、可動ケーブルは複雑な動きに対応できるよう設計を工夫しているわ。
    だから、屈曲させたり捻れが加わる用途でも、すぐには断線しないのよ。

  • 学くん

    どんな工夫をしているんですか?

可動ケーブルを設計するための工夫

  • 照代さん

    銅線の直径を小さくして構成本数を多くしたり、ケーブルの中心部に介在物を入れ、その周りにリード線を螺旋状に配置するなどの工夫よ。
    結果として、ケーブルを曲げた時に銅線に加わる負荷を最小限におさえているの。
    実際に試験もしているけど、それぞれの試験において往復200万回耐えられることを確認できているわ。

可動ケーブルの試験内容(参考)

試験 概要
屈曲試験
屈曲試験
ケーブルを±90°屈曲させる
曲げ半径:ケーブル外径の6倍
(1)可動ケーブル
(2)重り
U字曲げ試験
U字曲げ試験
ケーブルホルダにケーブルを取り付け、ケーブルを移動しながら曲げ試験を行う
曲げ半径:50㎜
移動距離:500㎜
(1)可動ケーブル
(2)移動体
捻回試験
捻回試験
ケーブルの両端をクランプして、±90°捻る
クランプ間隔:300㎜
(1)可動ケーブル
(2)クランプ(固定側)
(3)クランプ(回転側)
  • 学くん

    なるほど、こういう試験をしてるんですね。
    ロボットの場合は可動ケーブルさえ選んでおけば万事オーケーということが分かりました!

  • 照代さん

    ちょっと待って、学くん。
    可動ケーブルを利用する上でもう1つ、とても大切な事があるのよ。可動ケーブルを利用する際には、正しく設置することがとても重要なの。

  • 学くん

    正しく設置する…ですか。

  • 照代さん

    そう、正しい設置を怠ると、コネクタや端子にストレスが加わって接触不良や断線の原因になることがあるの。
    延長距離が長い場合は特に異常が見つけにくいから、最初から対策しておくことが重要よ。
    図のように3つのポイントをおさえるといいわ。

    (1)コネクタ部が動かないよう2か所で固定
    (2)ケーブルが動いても引っ張られないよう固定
    (3)屈曲半径はケーブル径の6倍以上にする

    ケーブルホルダを使用した設置例
    ケーブルホルダを使用した設置例
  • 学くん

    可動ケーブルそのものに負荷がかからないよう設置することが大切ってことですね。

  • 照代さん

    そうなの。あとね、いくら可動ケーブルでも、長い期間使用していればそのうち断線してしまうわ。
    ケーブルが長い場合、交換作業も大変ね。
    だから、屈曲しない部分(1)は標準ケーブルにして、屈曲する部分(2)のみを可動ケーブルにするような使い方もおすすめよ。

    ケーブル中継イメージ
    ケーブル中継イメージ
  • 学くん

    メンテナンスの時に可動ケーブルだけを交換すれば良いからということですね。色々勉強になりました!

  • 照代さん

    正しく選んで正しく使うことが装置の信頼性向上につながること、理解できたかしら?

  • 学くん

    はい!これからは、ただ紹介するだけでなく、プラスαのご提案ができそうです。

  • 照代さん

    頑張ってね!

今回のポイント

可動ケーブルのメリット

可動ケーブルは、複雑な動きに対応できるように設計が工夫されている。

設置時のポイント

ケーブルが動かされる用途に可動ケーブルを正しく設置することで、トラブルを未然に防ぐことができる。

選定時のポイント

標準ケーブルと可動ケーブルを組み合わせることで、メンテナンス時の手間を削減することができる。

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