AGV・AMRのモーター選定と制御に必要な「車輪の情報」って?


このコラムでは、AGVやAMRを自作する時のモーター選定と制御に必要な「車輪の情報」について紹介します。
-
これで条件はいいのかな?
-
学くん、どうしたの?
-
お客様からAGVやAMRを自作する際のモーターの選定条件についてのお問い合わせがあり、以前「AGV・AMR(搬送ロボット)の選定に必要な条件って?」で教えていただいた2点をもとに選定条件を確認しているところなのです。
①装置の条件
(重量、走行環境、搬送軸数と車輪径、電源電圧)
②運転条件
(走行スピード)
モーター選定と車輪幅
-
ちょっと見せて。。後は、車輪幅かしら。車輪幅が大きいほど慣性が大きくなって、モーターが必要とするトルクも大きくなるから要チェックね。床との設置面積が大きくなればグリップ力が上がって安定した旋回ができるようになるわ。セレクションガイドに「ロボットから選ぶ-搬送台車の駆動輪」があるから参考にしてみて。
-
分かりました!セレクションガイドを見てみます。搬送質量の要求仕様が50kg、AGV・AMRの自身の質量を40kg位と仮定して、低床設計向けの中空軸フラットギヤヘッドを使用するとして、減速比はトルクも速度もバランスのいい30にして。ありがとうございます。お客様の仕様にちょうど良い選定結果がありました!
選定条件
運転条件 | 搬送質量 | 50㎏ |
![]() |
---|---|---|---|
搬送速度 | 30m/min | ||
台車効率 | 0.9 | ||
外力 | 0N(無し) | ||
加速時間 | 2s固定 | ||
慣性 モーメント |
瞬時停止無し | ||
安全率 | 2以上 (負荷、瞬時最大ともに) |
||
路面 | 平坦、傾斜無し | ||
想定する車輪の条件 | 車輪径Φ | 100mm |
![]() |
車輪幅 | 32mm | ||
ゴム密度 | 1.2 | ||
摩擦係数 | 0.1(路面との摩擦係数) |

選定結果

モーター | BLMR460SHK-GFV | 出力[W] | 60W |
![]() |
---|---|---|---|---|
ギヤヘッド | GFS4G30FR | 減速比 | 30 | |
ギヤヘッド/モーター | 質量 | 2.1㎏ | ||
モーター軸としての搬送質量 | (2軸駆動) | 90㎏ |
![]() |
|
搬送速度 | (最大可搬時) | 30m/min |
-
良かったわね!最近、ワイヤレス充電を使うことでバッテリを軽量化されるお客様が増えてきているわよ。
-
なるほど、AGV・AMRの搬送質量を増やすことが期待できるということですね。
-
もし搬送質量が増える場合は、セレクションガイドを参考に当たり付けをしてみて。
-
ありがとうございます!すいません、後もう一つ。今回、メカ設計のお客様から、ソフト設計の方に伝える機構情報のポイントを聞かれているのですが。
制御に必要な機構の車輪の情報
-
制御に必要な機構の情報としては、「車輪の半径」「左右の車輪の中心間の距離」「ギヤの減速比」の3点かしら。この3つの値を使って、位置を制御するための座標への変換計算や、コーナーを回るときの左右の車輪の速度制御を行うのよ。
初期設定
車輪の選択 | 車輪の情報設定 | ギヤの減速比 |
---|---|---|
![]() |
![]() |
![]() |

![]() |
![]() |
-
左旋回するとき、右の車輪は速く、左の車輪は遅くなるんですね。
-
この座標の変換と左右の車輪の速度制御に加えてIMUセンサを搭載したモバイルロボットコントローラMVC01が近日発売されるので是非、ソフト設計のお客様にご紹介してね。あと、忘れないで!BLVシリーズRタイプには、車輪を付けるだけで低床設計のAGV・AMRの足回りができる「駆動車輪用モーター」をラインアップ追加したの。機械設計と組み立ての手間を省くことができるから是非おすすめしてね。
モバイルロボットコントローラ
MVC01
今回のポイント
- 搬送ロボットを選定するには、車輪幅が必要。車輪幅が大きいほど慣性が大きくなって、モーターが必要とするトルクも大きくなる。また、床との設置面積が大きくなればグリップ力が上がって安定した旋回ができるようになる。
- 制御に必要な機構の情報としては、「車輪の半径」「左右の車輪の中心間の距離」「ギヤの減速比」の3点。この3つの値を使って、位置を制御するための座標への変換計算や、コーナーを回るときの左右の車輪の速度制御を行う。