ステッピングモーターとサーボモーターの使い分けって?モーター構造や得意な領域は違いますか?
このコラムでは、ステッピングモーターとサーボモーターの使い分けについて、動作原理やトルク特性の違いを交えて会話形式でご紹介します。
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照代さん、ステッピングモーターとサーボモーターについて質問していいですか?
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ステッピングモーターもサーボモーターも正確な位置決めができるモーターだと思うのですが、何が違うの?とお客様から質問されてまして…。
ステッピングモーターとサーボモーターの動作原理
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なるほどね。いい機会だから整理してみましょうか。まずは、それぞれのモーターの構造について簡単に説明するわね。
ステッピングモーターもサーボモーターも、ステーターという部品とローターという部品で構成されているの。この2つの部品が引き合って位置を決めているという点では同じなんだけど、部品の構造が違うのよ。
下のイラストを見てみて。特にローターに注目して欲しいんだけど、ステッピングモーターの方はローターの外周側に小歯が刻まれていて、それぞれの小歯とステーターが少しずつ引き合って精度の良い位置決めを実現しているの。詳しくはステッピングモーターの基礎セミナーを視聴してみてね。
それに対してサーボモーターは、機械的な構造で位置決め精度を上げているわけでなく、位置センサ(エンコーダ)からのフィードバック情報を元に位置を決めているのよ。
5相ステッピングモーターの構造とサーボモーターの構造
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ステッピングモーターとサーボモーターの違いについて
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次に、基本的な特徴をおさらいしてみましょう。特徴の違いで思いつくものはあるかしら?
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ゲイン調整もだけど、もっと分かりやすい違いがあるわ。トルク特性を見てみると、ヒントが見つかると思うわよ。
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この特性比較は分かりやすいですね!ステッピングモーターは中・低速域でトルクが大きくて、サーボモーターは高速域でトルクが大きいんですね。
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う~ん…。ステッピングモーターは中・低速域での使用が適していて、サーボモーターは高速域が適しているということでしょうか。
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そうね。ちなみに、中・低速域を使う用途としてはどのようなものがあるかしら?
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高速まで上げる必要がない用途なら、移動量が少ないインデックステーブルのピッチ送りなどでしょうか。
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そのとおり!ピッチ送りみたいに位置決め運転時の移動量が少ない動作だと、必要回転速度が1000r/min以下のことが多いからね。
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なるほど。逆に、サーボモーターは高速でもトルクが落ちないから、ロングストロークで高速まで上げたい場合に適しているということですね。たとえばボールねじ機構とか!
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ボールねじでも細かいインチング運転ならステッピングモーターで十分だから、ショートストロークならステッピングモーター、ロングストロークならサーボモーターという使い分けがいいかもね。
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よく分かりました!まずは構造や得意な領域の違いについて、お客様に説明しようと思います。
他にもステッピングモーターとサーボモーターを使い分けるポイントってあるんでしょうか。もう少し勉強したいです。
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今回はそれぞれのモーターの得意な領域について説明したけど、性能面の違いについても知っておいてほしいわね。それは次回にしましょう。
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今回のポイント
ステッピングモーターとサーボモーターの構造の違い
ステッピングモーターはローターの外周側に小歯が刻まれており、それぞれの小歯とステーターが引き合うことで高精度な位置決めを実現している。
サーボモーターは機械的な構造で位置決め精度を上げているわけではなく、位置センサ(エンコーダ)からのフィードバック情報を元に位置を決めており、精度は位置センサの分解能に依存する。
ステッピングモーターとサーボモーターの使い分け
ショートストロークならステッピングモーターで十分対応できるが、ロングストロークで高速まで上げたい場合にはサーボモーターを選択すると良い。