ファンモーター 騒音

騒音とは

私達が一般に、不快と感じる音を騒音と呼んでいます。ファンモーターの場合には羽根が回転することにより、空気の圧力が変化し、騒音 が発生します。この空気の圧力の変化が大きいほど騒音は大きくなります。

騒音の測定

当社の騒音レベルはファンモーターの吸込側より1mのところ(吸込中心線)においてA特性で測定した値です。

騒音の測定方法

騒音の合成

騒音レベルが1台40dBのファンモーターを2台使用した場合の騒音レベルについて考えてみます。
騒音レベルはデシベル表示をしているため、単純な算術和というわけにはいきません。これを表すには音をまずエネルギーとして捉え、それにより音圧の増加分を算出する必要があります。

音のエネルギーJと音圧Pとの間には \(\displaystyle J = \frac{P^2}{\rho c}\) の関係があり(ρ:空気の密度、c:音の伝播速度)

この関係式を用いて騒音レベルをデシベル表示すると、次のようになります。

\(\begin{align} \text{騒音レベル} & = 20\mathrm{log}\ P/P_0\\[ 3pt ] & = 10\mathrm{log}\ J/J_0 \end{align}\)
P
実際の音圧
J
測定した騒音のエネルギー
P0, J0
人間の聞き分けることのできる最小の騒音エネルギー

つまりこの式は、騒音レベルをエネルギーJ0を基準として、そのデシベル表示で表したものです。この式を用いて音圧を算出しますと、ファンモーターがn台になっているわけですから音のエネルギーはn倍になっており、次のように求められます。

\(\begin{align} \text{騒音レベル} & = 10\mathrm{log}\ \mathrm{n}\cdot J/J_0\\[ 3pt ] & = 10\mathrm{log}\ J/J_0 + 10\mathrm{log}\ \mathrm{n} \end{align}\)

つまり、ファンモーターをn台同時に運転したときの騒音の増加分は10log n[dB]ということになるわけです。
ここではファンモーターは2台なのでn=2 とすると、騒音レベルは10log2つまり3[dB]増えることになり、40dBのファンモーター2台を同時運転させた場合の騒音レベルは43dBとなります。

次に40dBのファンモーターと50dBのファンモーターを同時運転した場合の騒音レベルを考えてみます。この場合も算術和によって合成した騒音レベルを得るというわけにはいきません。

騒音の合成

50dBに40dBを加えてもたった0.4dB騒音レベルが増加したにすぎません。つまり、騒音レベルは常に大きい方の値に支配されるため、騒音レベルの異なるファンモーターを同時運転するような場合には、騒音が高い方のファンモーターの騒音をいかに抑えるかが重要ということになります。

二つのレベルの差と騒音レベルの増加

距離と騒音

騒音レベルは、音源からの距離が遠くなるにしたがって小さくなります。
この騒音レベルの距離減衰を式で表すと次式になります。

\( \mathrm{SPL}_2 = \mathrm{SPL}_1 - 20 \mathrm{log}\ \mathrm{r_2}/\mathrm{r_1} \)
SPL2
距離r2での騒音レベル
SPL1
距離r1での騒音レベル

ここでは吸込側より1mで40dBのファンモーターを、2mで測定した場合の騒音レベルを見てみましょう。
r2=2m r1=1m SPL1=40dB ですから、代入すると次のようになります。

\( \begin{align}\mathrm{SPL}_2 & = 40- 20 \mathrm{log}\ 2/1\\[ 3pt ] & = 34\ [\mathrm{dB}]\end{align} \)

距離2mでは6dB下がったことになります。
上式の 20log r2/r1 は、2つの距離の比を示していますので、これは距離が、例えば3mと6mを比較しても同じことがいえるわけです。このことから、ある距離における騒音レベルがわかっていれば、異なる距離における騒音レベルを推定することも可能になります。