中空ロータリーアクチュエータの選定 DGⅡシリーズの選定
DGⅡシリーズの選定計算について説明します。
1. 慣性モーメントの計算
搬送物の慣性モーメント(負荷慣性モーメント)を計算します(計算式はこちらを参照)。
搬送物の慣性モーメントは、アクチュエータ慣性モーメントの30倍以下(深溝玉軸受タイプは10倍以下)を目安としてください。
2. 機種の選定
- ①
- 摩擦トルクがない場合は、DGⅡシリーズの負荷慣性モーメント-位置決め時間グラフから位置決め時間を確認します。
負荷慣性モーメント-位置決め時間グラフはこちらをご覧ください。
- ②
- 位置決め時間と加減速時間を決定します。
ただし、
位置決め時間≧負荷慣性モーメント-位置決め時間グラフより求めた最短位置決め時間
加減速時間 t1×2≦位置決め時間
としてください。
- ③
-
起動回転速度N1を決定し、運転回転速度N2を次式より計算します。
N1は低速 [0-数r/min]に設定し、必要以上に大きくしないでください。\(\begin{align} N_2 = \frac{\theta - 6 N_1 t_1}{6 ( t - t_1)} \end{align}\)- N 2
- 運転回転速度[r/min]
- θ
-
位置決め角度[°]
- N 1
- 起動回転速度[r/min]
- t
- 位置決め時間[s]
- t 1
- 加速(減速)時間[s]
上記計算式でN1≦N2≦200[r/min]にならない場合は①へ戻り条件を見直してください。
3. 必要トルクの計算
- ①
-
加速トルクを次式により計算します。
-
- T a
- 加速トルク[N·m]
- J 1
- アクチュエータ慣性モーメント[kg·m²]
- J L
- 全慣性モーメント[kg·m²]
- N 2
- 運転回転速度[r/min]
- N 1
- 起動回転速度[r/min]
- t 1
- 加速(減速)時間[s]
- ②
-
必要トルクを算出します。必要トルクは摩擦抵抗による負荷トルクと慣性モーメントによる加速トルクを足したものに、安全率を乗じたものになります。
-
- T
- 必要トルク[N·m]
- T L
- 負荷トルク[N·m]
- T a
- 加速トルク[N·m]
- S f
- 安全率
安全率Sf は1.5以上(AZシリーズ搭載 取付角寸法130mmのDC48V入力は2倍以上)にしてください。
- ③
-
必要トルクTが回転速度-トルク特性の内側に収まるかどうか確認します。収まらない場合は「2. 機種の選定」の②へ戻り、条件を変更して再計算します。
なお、回転速度からパルス速度へ変換する場合は次式のようになります。
-
- f
- パルス速度[Hz]
- N
- 回転速度[r/min]
- θ S
- 出力テーブル部最小移動量[deg/STEP]
4. 負荷モーメント、アキシアル荷重の計算
出力テーブルに下図のように荷重が掛かる場合は、次式による負荷モーメント、アキシアル荷重を計算し、仕様値内であることを確認してください。


品名 | DGM60 |
DGM85R、 DGB85R |
DGM130R、 DGB130R |
DGM200R |
---|---|---|---|---|
出力テーブル 支持軸受 |
深溝玉軸受 | クロスローラベアリング | ||
定数a [mm] | 10 | 20 | 30 | 40 |
品名 | 出力テーブル 支持軸受 |
許容モーメント [N・m] |
許容アキシアル荷重 [N] |
---|---|---|---|
DGM60 | 深溝玉軸受 | 2 | 100 |
DGM85R、 DGB85R | クロスローラ ベアリング |
10 | 500 |
DGM130R、 DGB130R | 50 | 2000 | |
DGM200R | 100 | 4000 |
負荷モーメントによる変位量(参考値)
出力テーブルに負荷モーメントをかけると変位します。
グラフの変位量は負荷モーメントを一方的に作用させたとき、出力テーブル回転中心から距離Lだけ離れた位置での変位です。
負荷モーメントが正、負の両方向で作用する場合、変位量は約2倍になります。
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