トルクモーターってどんなモーターですか？

巻き取り用途を検討中かー。

どうしたの、学くん。

これを見てください。お客様からいただいた選定依頼書です。巻き取り用途に適したモーターをお探しなので、トルクモーターをご紹介しようと思うんです。でも、「トルクモーターってどんなモーターなの？」って聞かれると上手く言葉が出てこなくって…

あらあら、トルクモーターの特徴がいまいち整理できていないようね。まず、トルクモーターのトルク特性曲線を見てみて。（図1参照）
トルクモーターは、大きな起動トルクと垂下特性を持っていて、モーターは最高速から拘束されるまでの全速度域で使用できるのよ。

本当だ。インダクションモーターとは全然違いますね。

そう。では、なぜこの特徴が巻き取りに適しているのかというと、巻き取り装置に求められるのは、一定張力、一定速度なの。ラベル印字機でもそうだけど、ここに送り出し側のローラーと巻き取りローラーがあるとするわね。どんどん巻き取っていくと、巻き取り側の径はどうなっていく？スピードは？

んー…、径は当然大きくなっていきますよね。そうすると１回転で巻き取る量がどんどん多くなるわけだから、モーターの回転速度が同じだったら巻き取りスピードはどんどん速くなっちゃいますね。それと…、巻き終わりに近づくにつれて径は大きくなっていくんだから、より大きな回転力（トルク）が必要になっていきますよね？

その通り！巻き取る物のスピードを一定にするには、径が大きくなるにつれて回転速度を遅くしなければならないわよね。それに、径が大きくなるにつれてモータートルクが大きくなる特性が必要よね。

一定の速度・張力で巻き取っていくには、負荷の変化に合わせて「速度」「トルク」を調整できるモーターでなくてはならないってことなの。このグラフを見て。巻き取り作業をする上でモーターに求められる特性を描いたものよ（図3参照）。 巻き始めと巻き終わりでこのような特性が求められるのよ。さっき説明した、トルクモーターの特性曲線と似てると思わない？

→トルクモーターは垂下特性のため、
これに近い特性が得られる。

ほんとだ、そっくりだ。そうか、だからトルクモーターのあの曲線「垂下特性」が巻き取り用途に適しているんですね！トルクモーターって、巻き取り用途にぴったりですね。でも…、照代さん。お客様の条件から必要な特性を算出してみたんですけど、なんだかこのトルク－速度特性にはうまく当てはまらないようですよぉ。

印加電圧を変更すればトルク特性を変えられるわ。電圧を変更することで、トルクモーターの特徴的な垂下特性はそのままに、モータートルクを変えられるの（図4参照）。
ちなみに、印加電圧を変化させるには、市販の電圧調整器などを使う方法があるわね。

そうか！それじゃあ、さっそくお客様にトルクモーターと電圧調整器をご紹介してみます。

ちょっと待って。それなら新製品のトルクモーターユニット「TMシリーズ」があるじゃない。TMシリーズのパワーコントローラならとってもコンパクトだし、トルク設定はボリュームで簡単におこなえるわよ。内部と外部のボリュームを切り替えれば2段階のトルク設定が可能だし、外部直流電圧での制御もできるわ。そのうえ、サーマルプロテクタオープン検出機能もついているから、万一モーターの温度上昇が厳しくてサーマルが機能した時、外部にアラームとして出力できるから、安心ね。

TMシリーズって簡単そうだしいいですね！よーし、TMシリーズの特徴をしっかり押さえて、さっそくお客様にご紹介するぞぉ。

良い心意気ね。でも、上手にご説明できなかったんだから、まずはトルクモーター自体のおさらいをしっかりしてからね。良い営業マンは"バッチリ準備を整えて"お客様に臨むものよ！

はい。優秀な営業マン目指して、日々精進しまっす。