ギヤヘッド/リニアヘッド 瞬時最大トルクの活用
瞬時最大トルクとは、ギヤヘッド出力軸に加えることができる最大のトルク値です。(許容トルクは、連続的に加えられるトルク値です)。
加速・減速運転時は慣性モーメントの影響で、一定速運転時より大きなトルクが加速トルクとしてギヤヘッド出力軸に加わります。
以下の式より、慣性モーメントが大きいほど、加速トルクが大きくなりますが、慣性モーメントが大きい場合、加速・減速時間を長くすることで、加速トルクを小さくすることができます。 また、ステッピングモーター、サーボモーターで、位置決め運転をする場合、ギヤヘッドの瞬時最大トルクを活用することで、より位置決め時間を早くすることができます。
$${Ta}\ [\mathrm{N}\cdot\mathrm{m}] = \frac{({J_0} + {J_L})}{9.55} \cdot \frac{N_M}{t_1}$$
- Ta
- 加速トルク[N·m]
- J0
- ローター慣性モーメント[kg·m2]
- JL
- 全慣性モーメント[kg·m2]
- NM
- モーターの運転速度[r/min]
- t1
- 加速(減速)時間[s]
- t0
- 位置決め時間[s]


瞬時最大トルクを活かした事例として、同サイズの慣性体を駆動した場合の位置決め時間の比較をします。ARM66AC-PS50 + ARD-Cを使用して、回転速度―トルク特性を以下に示します。
- 条件
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①瞬時最大トルクを活用した場合
②許容トルクしかないギヤと想定した場合
- 駆動条件
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安全率:1.5
慣性負荷直径:300mm(厚さ15mm・鉄)
慣性モーメント:942×10-4[kg・m2]
移動量:90度
項目 | ARM66AC-PS50 + ARD-C |
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取付角 | 60mm |
減速比 | 50 |
励磁最大静止トルク | 8N·m |
許容トルク | 8N·m |
瞬時最大トルク | 20N·m |
質量 | 0.75kg |

トルクパターン比較と位置決め時間比較のグラフも以下に示します。瞬時最大トルクを活用した場合のほうが0.1[s]以上、位置決め時間が早くなっていることがわかります。
以上のように瞬時最大トルクを活用した場合、位置決め時間を早くすることが可能となり、生産性の向上が期待できます。

