ギヤヘッド/リニアヘッド リニアヘッドの特性

リニアヘッドの特性として重要なものに、以下の3つがあります。

  • ラック速度
  • 最大可搬質量
  • 保持力

ラック速度

LSリニアヘッド、LHリニアヘッドのラック速度は、各製品の特性表の中に、基本速度として記載しています。
基本速度はモーターの同期回転速度(50Hz:1500r/min)をもとに計算しています。実際にはモーターの回転速度は負荷の大きさに応じて変化します。

なお、LSリニアヘッド、LHリニアヘッドをスピードコントロールモーターと組み合わせた場合は、モーターの回転速度から次式により計算できます。

\(\begin{align}V= {N_S}\ \frac{1}{60} \cdot \frac{1}{i} \cdot \pi {D_P} \end{align}\)
V
ラックの移動速度[mm/s]
NS
組み合わせモーターの回転速度[r/min]
i
リニアヘッド減速部の減速比 → 下表
DP
ピニオンのピッチ円径[mm]→ 下表

最大可搬質量

特性表にないモーターと組み合わせる場合は、次の式よりモーターの発生するトルクから推力を計算することができます。
ただし、減速比が大きな場合または水平方向でご使用になる場合は、ギヤヘッド部の機械的強度を超える負荷質量が駆動できる計算となります。ラックの移動方向にかかわらず、リニアヘッドの負荷質量は各タイプの最大可搬質量以下でご使用ください。

\(\begin{align} F&= {T_m}\cdot\ {i} \cdot \eta_1\frac{2}{D_P} \cdot\ \eta_2\\ W&= \frac{F}{9.807} \end{align}\)
Tm
モーターのトルク[mN·m]*
F
推力[N]
W
可搬質量[kg]
i
リニアヘッド減速部の減速比 → 下表
η1
減速比による伝達効率 → 下表
DP
ピニオンのピッチ円径[mm]→ 下表
η2
ラックとピニオンの伝達効率[=0.9]
  • * 起動トルク、定格トルクのうち、小さい方の値を用いて計算してください。

特性表中の最大可搬質量や、計算して求めた推力の値は、ラックを水平方向に動かした場合の値です。ラックを上下方向に動かした場合は特性表中の値からラック質量(外形図参照)またはラック質量分の力(ラック質量×9.807)を引いた値になります。

LSリニアヘッド

品名 減速比
i
伝達効率
η1
ピニオンピッチ円径
DP[mm]
2LSF(B)45-□ 17.68 0.73 10.7
2LSF(B)20-□ 35.36 0.66
2LSF(B)10-□ 86.91 0.59
4LSF(B)45-□ 36 0.73 21.25
4LSF(B)20-□ 75 0.66
4LSF(B)10-□ 150 0.66
  • 品名中の□には、ストロークを表す数字が入ります。

LHリニアヘッド

品名 減速比
i
伝達効率
η 1
ピニオンピッチ円径
D P[mm]
2LF(B)50N-□ 17.68 0.73 12
2LF(B)25N-□ 35.36 0.66
2LF(B)10N-□ 86.91 0.59
4LF(B)45N-□ 36 0.73 21.25
4LF(B)20N-□ 75 0.66
4LF(B)10N-□ 150 0.66
5LF(B)45U-□ 36 0.66 24
5LF(B)20U-□ 90 0.59
5LF(B)10U-□ 180 0.59
  • 品名中の□には、ストロークを表す数字が入ります。

保持力

LHリニアヘッド0Lタイプは製品の特性表をご覧ください。LSリニアヘッド、LHリニアヘッドの場合は組み合わせるモーターの保持力から、次式により計算できます。

\(\begin{align}F_B= T_B\ \cdot\ {i}\ \frac{2}{D_P}\end{align}\)
FB
保持力[N]
TB
モーターの保持トルク[mN·m]
i
リニアヘッド減速部の減速比 → 上の表
DP
ピニオンのピッチ円径[mm]→ 上の表

特性表中の保持力や、計算して求めた保持力の値は、ラックを水平方向に設置した場合の値です。垂直方向に設置した場合は特性表中の値からラック質量(外形図参照)分の力(ラック質量×9.807)を引いた値になります。

LSリニアヘッド、LHリニアヘッドのラックのガタ(初期値)

LSリニアヘッド

LSリニアヘッドのラックは、ラックケースの2か所のラックブッシュで支持されています。ラックブッシュの内部をしゅう動するために、ラックブッシュとラックの間にはわずかにすき間を設けているため、ラックが図のような方向に動きます。

A、B方向 2mm 以下
C方向(バックラッシ) 0.5mm 以下
D方向 0.5° 以下
LSリニアヘッド
  • A、B方向のガタはケース端面から500mmの位置で測定した値です。
  • ラックのガタは使用していくにしたがい増加します。ガタが問題となる用途でお使いの場合は外部にガイドを設けてください。

LHリニアヘッド

LHリニアヘッドのラックは、ラックケースの2か所のラックブッシュで支持されています。ラックブッシュの内部をしゅう動するために、ラックブッシュとラックの間にはわずかにすき間を設けているため、ラックが図のような方向に動きます。

  • A、B方向のガタはケース端面から500mmの位置で測定した値です。D方向のガタは、ラックが丸型のため大きくなります。
  • ラックのガタは使用していくにしたがい増加します。ガタが問題となる用途でお使いの場合は外部にガイドを設けてください。
A、B方向 2mm 以下
C方向(バックラッシ) 0.5mm 以下
D方向 5° 以下
LHリニアヘッド

オーバーラン(参考値)

LSリニアヘッド

2Lタイプ 単位=mm
2LSF(B)10-□ 2LSF(B)20-□ 2LSF(B)45-□
2RK6GN-A(C)W2J 2.3 5.7 11
2RK6GN-A(C)W2J
+ブレーキパック SB50W
0.6 1.4 2.9
2RK6GN-A(C)W2MJ 1.2 2.9 5.7
2RK6GN-A(C)W2MJ
+ブレーキパック SB50W
0.6 1.4 2.9
  • 上記オーバーランの値は無負荷時の参考値です。
4Lタイプ 単位=mm
4LSF(B)10-□ 4LSF(B)20-□ 4LSF(B)45-□
4RK25GN-A(C)W2J 2.7 5.3 11
4RK25GN-A(C)W2J
+ブレーキパック SB50W
0.7 1.3 2.8
4RK25GN-A(C)W2MJ 1.3 2.7 5.6
4RK25GN-A(C)W2MJ
+ブレーキパック SB50W
0.7 1.3 2.8
  • 上記オーバーランの値は無負荷時の参考値です。

LHリニアヘッド

0Lタイプ 単位=mm
品名 オーバーラン
0LF(B)5N-□RA0LF(B)5N-□RC 1.4(0.3)
0LF(B)10N-□RA0LF(B)10N-□RC 2.8(0.5)
0LF(B)20N-□RA0LF(B)20N-□RC 4.7(0.8)
  • 上記オーバーランの値は無負荷時の参考値です。また、上記オーバーランの( )内の値はブレーキパックを使用して瞬時停止をおこなった場合の値です。
2Lタイプ 単位=mm
2LF(B)10N-□ 2LF(B)25N-□ 2LF(B)50N-□
2RK6GN-A(C)W2J 2.6 6.4 13
2RK6GN-A(C)W2J
+ブレーキパック SB50W
0.7 1.6 3.2
2RK6GN-A(C)W2MJ 1.3 3.2 6.4
2RK6GN-A(C)W2MJ
+ブレーキパック SB50W
0.7 1.6 3.2
  • 上記オーバーランの値は無負荷時の参考値です。
4Lタイプ 単位=mm
4LF(B)10N-□ 4LF(B)20N-□ 4LF(B)45N-□
4RK25GN-A(C)W2J 2.7 5.3 11
4RK25GN-A(C)W2J
+ブレーキパック SB50W
0.7 1.3 2.8
4RK25GN-A(C)W2MJ 1.3 2.7 5.6
4RK25GN-A(C)W2MJ
+ブレーキパック SB50W
0.7 1.3 2.8
  • 上記オーバーランの値は無負荷時の参考値です。
5L-Uタイプ 単位=mm
5LF(B)10U-□ 5LF(B)20U-□ 5LF(B)45U-□
5RK60GU-A(C)F
5RK90GU-A(C)F
2.5 5.0 13
5RK60GU-A(C)F
+ブレーキパック SB50W
5RK90GU-A(C)F
+ブレーキパック SB50W
0.6 1.3 3.1
5RK60GU-A(C)MF2
5RK90GU-A(C)MF2
1.3 2.5 6.3
5RK60GU-A(C)MF2
+ブレーキパック SB50W
5RK90GU-A(C)MF2
+ブレーキパック SB50W
0.6 1.3 3.1
  • 上記オーバーランの値は無負荷時の参考値です。
  • 品名中の□には、ストロークを表す数字が入ります。