2-1. 特性・性能面の違い

3つのスピードコントロールモーターの制御方式の特徴から、用途を交えた使い分け事例を説明します。

速度比

ブラシレスモーターは、モーター内部にある磁気回路の最適化や、速度フィードバック信号の検出精度向上により、他のスピードコントロールモーターに比べ、速度比を広く取ることができます。

  • ※ 連続運転領域における、モーターの最低回転速度と最高回転速度の比率のこと。
種類 シリーズ 速度制御範囲[r/min] 速度比
ブラシレスモーター BXIIシリーズ 30~4000
(2~4000※1
1 : 133
(1 : 2000※1
BLE2シリーズ 80~4000 1 : 50
BMUシリーズ 80~4000 1 : 50
ACスピードコントロールモーター DSCシリーズ 90~1400(50Hz)
90~1700(60Hz)
1 : 15
インバータ 一般的なインバータ
+KIISシリーズ
90~3600※2
(周波数3~120Hz)
1 : 40※2
※1
デジタル設定時
※2
インバータの制御方法の違いにより、特性が異なります。

用途例

広い速度比を必要とする用途では、「低速搬送、高速リターン」や「変速時の速度差」を求められます。ここで、速度比の広いブラシレスモーターを使用すると、生産性アップにつながります。

コンベア駆動

コンベア駆動は、「溶接機の搬送」「塗装機の搬送」「部品の検査装置」などに、よく用いられます。

速度変動率

速度変動率は、負荷や電圧または温度が変化した場合に、回転速度が設定速度に対してどの程度変動するかを表します。ブラシレスモーターは、ホールICで回転速度を検出するフィードバック制御をおこなっているため、安定した回転速度が得られます。

種類 シリーズ 対負荷速度変動率
ブラシレスモーター BXIIシリーズ ±0.05%
BLE2シリーズ ±0.2%
BMUシリーズ ±0.2%
ACスピードコントロールモーター DSCシリーズ ±1%(参考値)
インバータ 一般的なインバータ
+KIISシリーズ
-5.5%(ベクトル制御 参考値)
-6.3%(V/f制御 参考値)
  • ※ デジタル設定時

用途例

液体の攪拌(攪拌機)

液体の攪拌(攪拌機)

攪拌が進行するにつれ粘性が変化する液体をあつかう場合、モーターに加わる負荷は都度変動します。ブラシレスモーターなら、液体の粘度にかかわらず、安定した速度で攪拌をおこなえます。

重量の異なるワークの搬送

重量の異なるワークの搬送

コンベアに大小様々な重量のワークが流れてくる場合、モーターに加わる負荷は都度変動します。ブラシレスモーターなら、ワークの大小にかかわらず、安定した速度で搬送をおこなえます。

並列運転のエッジコンベア(同期制御)

並列運転のエッジコンベア(同期制御)

複数のモーターを同期させて運転する場合を考えます。ブラシレスモーターは、フィードバック制御をおこなうため、速度変動率が小さく、同期性に優れています。

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