αSTEP/ステッピングモーター ステッピングモーターの動作原理

実際に磁化した場合のステーターとローターの小歯の位置関係を5相ステッピングモーターを実例として説明します。

A相を励磁した場合

A相を励磁すると磁極はS極に磁化され、N極の極性を持つローター1の小歯と引き合い、S極の極性を持つローター2の小歯とは反発し、釣り合って停止しています。このとき励磁されていないB相の磁極の小歯は、S極の極性を持っているローター2の小歯と0.72°ずれています。これがA相を励磁したときのステーターとローターの小歯の位置関係です。

A相を励磁した場合

B相を励磁した場合

次にA相励磁からB相励磁に切り替えると、B相の磁極はN極に磁化され、S極の極性を持つローター2と引き合い、N極の極性を持つローター1とは反発します。

B相を励磁した場合

つまり、A相励磁からB相励磁に励磁相を切り替えることにより0.72°ローターが回転したことになります。これからわかるように、励磁相をA相→B相→C相→D相→E相→A相と切り替えていくことにより、ステッピングモーターは0.72°ずつ正確に回転していきます。また、逆方向に回転させたい場合は、A相→E相→D相→C相→B相→A相と、励磁する順番を逆にすることによりおこなえます。
0.72°という高分解能は、ステーターとローターの構造上の機械的なズレによって生み出されており、これがエンコーダなどのセンサを使用せずに正確に位置決めできる理由です。また、停止精度に関してもステーターとローターの加工精度、組立精度、巻線の直流抵抗のばらつき程度しかないため、±3分(無負荷時)という高い停止精度が得られます。実際のステッピングモーターでは励磁相を切り替える役目をドライバが、またその切り替えタイミングをドライバに入力されるパルス信号がおこなっています。これは1相ずつ励磁した場合の例ですが、実際は巻線を有効に利用するために4相または5相同時に励磁しています。