αSTEP/ステッピングモーター ステッピングモーターのドライバ部

ステッピングモーターの駆動方法には定電流駆動方式と定電圧駆動方式の2種類があります。
定電圧駆動方式は回路構成が簡単ですが、高速域においてトルク特性が得にくい方式です。
一方、定電流駆動方式は現在広く使用されている駆動方式で、高速領域のトルク特性に優れた特徴を持っています。当社のステッピングモーター用ドライバはすべてこの駆動方式を採用しています。

定電流駆動方式の概要

ステッピングモーターは各巻線に流す電流を順番に切り替えることにより回転させていますが、回転速度が速くなると、この切り替えが速くなり電流の立ち上がりが追いつかず、トルクの低下が起こります。
そこで、モーターの定格電圧よりもはるかに高い直流電圧をチョッピングすることにより、高速時にもモーターに定格電流を流すことができます。

定電流駆動方式の概要

電流検出抵抗でモーター巻線に流れる電流を電圧として取り出し、基準電圧と比較します。検出抵抗の電圧が基準電圧よりも低いとき(定格電流に達していないとき)は、スイッチングトランジスタTr2を引き続きONし、基準電圧より高いとき(定格電流を超えたとき)は、Tr2をOFFし、常に定格電流が流れるように電流制御しています。

定電流チョッパ駆動・電圧と電流の関係

AC入力とDC入力の特性の違い

ステッピングモーターはドライバを介し、直流電圧を印加しモーターを駆動しています。
当社ではDC24V入力製品の場合はDC24Vを、AC100V、AC200V入力の場合は一度直流に整流し約DC140Vをモーターに印加しています。(一部製品を除く。)
このモーターへの印加電圧の差は高速域のトルク特性の差になって現れます。それは、モーター巻線に流れる電流の立ち上がりは印加電圧が高いほど速くなり、高速域でも定格電流を流すことができるからです。つまりAC入力製品は、低速域から高速域まで全域においてトルク特性に優れており、大きな速度比を得ることができます。
ご使用の際にはまず、機器の多様な使用条件に対応できるAC入力製品をおすすめします。

AC入力とDC入力の特性の違い

マイクロステップ技術

5相ステッピングモーターの基本ステップ角度0.72°を機械的減速機構なしでさらに細かく分割(最大250)できます。

特徴

ステッピングモーターはローターとステーターの凸極構造で決まるステップ角度ごとに回転・停止するため、位置制御が高精度に、しかも簡単にできるという特徴があります。しかし逆に、ステップ角度ごとに回転することでローターは速度変化を生じ、ある回転数で共振したり、振動が大きくなるという特性もあわせ持っています。
マイクロステップドライブは、モーターの基本ステップ角度をモーターコイルに流す電流を制御することで細分化し、超低速・低騒音運転を実現する技術です。

  • モーターの基本ステップ角度(0.72°/フルステップ)を1/1~1/250まで細分化できますので、微小角送りによる滑らかな運転がおこなえます。
  • モーターの駆動電流を滑らかに変化させる技術により、モーターの振動を抑え低騒音運転を実現させました。

特性面

  • 低振動
    マイクロステップ技術によりステップ角度を電気的に細分化。低速領域での段階的な動きを滑らかにし、振動を大幅に改善しました。
    通常、振動を低減するためにダンパなどを使用しますが、モーター自体が低振動設計であることに加え、マイクロステップ技術を採用することによりさらに振動を抑えます。
    振動対策を大幅に簡略できますので、振動をきらう用途や装置には最適です。

    振動特性
  • 低騒音
    マイクロステップ技術により低速領域での振動音も改善し、低騒音化を実現しました。
    騒音をきらう環境下でも威力を発揮します。
  • 制御性の向上
    ダンピング特性の良い新ペンタゴン方式のマイクロステップ駆動です。
    ステップごとのオーバーシュート、アンダーシュートが少なく、パルスパターンに正確に追従します。(リニアリティーも向上します。)
    また、起動、停止の衝撃を和らげることができます。

    ステップ応答の違い

電源トランスの選び方

ステッピングモーターを海外で使用する場合、単相115Vまたは単相220~240Vの電源が使用されている場所がほとんどです。それらの地域で使用する場合には、電源トランスを介して電源入力仕様に合わせてご使用ください。

トランス容量は、以下の式により求めることができます。

トランス容量[VA]=ドライバ電源電圧[V]×ドライバ入力電流[A]

ステッピングモーターのドライバ入力電流は、仕様一覧と回転速度―トルク特性から読み取ることができます。

規格認定品を海外でご使用の場合はこちらをご覧ください。