スピードコントロールモーター
ブラシレスモーター
ブラシレスモーターの構造と動作原理
ブラシレスモーターの構造
ブラシレスモーターの構造は、ローターの位置検出用の磁気素子または、光学式のエンコーダがモーターに内蔵されています。この位置検出器により駆動回路へ信号を送ります。モーター巻線は、3相スター結線です。また、ローターは永久磁石を使用しています。
検出用の磁気素子には、ホールICが使用されています。ステーターの内側に3個配置されており、ローターが回転するごとにホールICからデジタル信号が出力されます。
ブラシレスモーターの駆動方法
モーター巻線にはスイッチング用のトランジスタが接続されており、トランジスタは6個でインバータを構成しています。上下のトランジスタが交互にON-OFFを一定の順序で繰り返して、巻線電流の向きを変えています。その回転するしくみを説明します。
下図のトランジスタのスイッチングシーケンスでステップ①の場合、トランジスタはTr1とTr6がON状態になっています。このとき巻線電流はU相からW相へ流れ、U相はN極に、W相はS極に励磁されます。これにより、ローターは30°回転します。この動作を12回繰り返すことにより、ローターは回転します。
各トランジスタのスイッチングシーケンス
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ | ⑬ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Tr1 | ON | ON | ON | ON | ON | ||||||||
Tr2 | ON | ON | ON | ON | |||||||||
Tr3 | ON | ON | ON | ON | |||||||||
Tr4 | ON | ON | ON | ON | |||||||||
Tr5 | ON | ON | ON | ON | |||||||||
Tr6 | ON | ON | ON | ON | ON | ||||||||
U相 | N | − | S | S | − | N | N | − | S | S | − | N | N |
V相 | − | N | N | − | S | S | − | N | N | − | S | S | − |
W相 | S | S | − | N | N | − | S | S | − | N | N | − | S |
ブラシレスモーターの制御方法
ブラシレスモーターの駆動回路は、図のような構成でモーターと接続され、大きく分けて5つのブロックから構成されています。
● パワー回路
● 電流制御回路
● ロジック回路
● 設定比較回路
● 電源回路
パワー回路
モーター巻線に流れる電流を制御します。トランジスタを6個使用します。
上下に接続されたトランジスタが、一定の順序でON-OFFを繰り返し、モーター巻線に電流を流します。
電流制御回路
モーターに流れる電流は、負荷の大きさによって変化します。モーターに流れる電流は、常時検出されており、設定された回転速度からずれが生じないように制御されます。
ロジック回路
モーターのホールICよりフィードバック信号を受け、ローターの位置検出をおこない、モーター巻線の励磁順序を決めています。
ここからの信号はパワー回路の各トランジスタのベースへ接続されており、トランジスタを一定の順序で駆動しています。また、モーターの回転速度を検出する役目をもっています。
モーターへの指令、スタート/ストップ、ブレーキ/ラン、CW/CCWの制御もおこないます。
設定比較回路
速度設定信号と、モーターの回転速度信号を比較します。この結果より、モーターの回転速度が設定された回転速度より高いか低いかを見ています。モーター回転速度が設定より高ければモーターへの入力を下げ、低ければモーターへの入力を上げて設定回転速度へ戻します。
電源回路
商用電源より、モーターと各制御回路を駆動するために必要な電圧にします。