ロボットの内製化を製品・サービスで支援
内製ロボット事例を公開、ロボットコントローラも発売

搬送や単純作業の自動化は非常に効果が大きく、多くの製造業が関心を寄せています。ただ、ロボットの導入となると初期投資がかさむことや、限られたスペースに取り付けられないなどの課題も明らかになっているのも事実です。そこで注目を集めているのがロボットの内製化。オリエンタルモーターは内製ロボットの製作事例を公開するとともに、ロボットコントローラを発売し、制御ソフトも無償提供しています。その概要について、営業本部商品企画部商品企画課主任の山越洋に聞きました。
拡大する“自社の実情に合わせたロボット”の社内製作
今、ものづくりの現場では、今まで人が行ってきた搬送や単純作業の自動化が、大きな流れになっています。搬送ロボットや作業ロボットの導入は効果が大きく、多くの企業が注目していますが、導入が進む中で課題も明らかになっています。
例えば、AMR(自律走行搬送ロボット)は1台150万円ほど、作業ロボットは高機能なもので300万円を超えるなど一般的に高額です。さらに実際に導入するにはSIerによるシステムインテグレーションが必要なので、初期投資は1000万円を超えてしまいます。「費用がかかるため、果たして人を減らして投資する意味があるのか、人が作業する方が安く済むのではないかと考える企業もあります。投資を回収できないのではないかと躊躇される企業も多いのが実情です」と山越は語ります。
また人が行っていた単純作業を肩代わりする多関節ロボットの場合、汎用製品を導入するとなると、上位のシステムやラインの構成、スペースをそのロボットに合わせて再構築しなければなりません。ごくわずかな隙間のような部分での自動化の場合は、そのスペースに使えるロボットはないので、設置することができませんし、あったとしてもオーバースペックというケースもあります。いずれもコストや手間の面から割に合わず、自動化が見送られることが多いようです。
そこで注目されているのが自社の実情に合わせたロボットの社内製作(内製化)です。AGV(無人搬送車)の内製や、購入したAGV/AMRの上へのローダー・アンローダー用コンベヤや水平スカラ、ガントリ、垂直多関節などの作業ユニット(ロボット)の搭載、あるいは限られたスペースのためのロボットの内製などへの取り組みが増えています。「展示会では私たちが自社モーター・ドライバを組み込んでロボットを動かしているのに注目が集まり、内製の仕方についての問い合わせも多くありました。内製する方が安く済みますし、メンテナンスも自社でできるというメリットもあります」(山越)。
一方で、お客様からは機構としてのロボットを製作できても、実際に動かす場合の制御・プログラミングが難しく、内製に踏み切れないという声も聞きます。ロボット内製を何とか実現したいというお客様のニーズにどうお応えできるか、私たちにとっても課題でした。

営業本部商品企画部商品企画課主任 山越洋
モーターからロボットコントローラ、プログラミングソフトまで用意
ロボット内製において、まず重要になるのがモーターの選定です。オリエンタルモーターはそのために、バッテリレスアブソリュートセンサ搭載αSTEP AZシリーズを中心とした制御モーター、ギヤ、電動アクチュエータなどの制御モーターのラインアップを充実させています。
その上で、お客様が最適なモーターを選ぶことができるように、営業活動の中で、駆動可能なモーターの種類や必要なトルク、に対応するモーターを提案するモーター選定サービスを無料で提供しています。「例えば垂直多関節ロボットであれば、アームの長さや荷重などをご提示いただくと、該当するモーターを計算結果と一緒に回答します」(山越)。
また、オリエンタルモーターはモーターメーカーですが、プログラミングについてのお客様のニーズに応えるために、ロボットコントローラ「MRC01」と無償の設定・プログラミング専用ソフト「MRC Studio」を用意しています。
MRC01は、初期設定、動作プログラミング、動作確認の3つのステップで、内製ロボットを簡単に導入・制御することができるロボットコントローラです(図)。
MRC01をPLCの下に接続するだけで、既存設備の制御システムを大きく変更することなく、内製ロボットを追加導入することが可能です。簡易的なシーケンスであれば、上位機器なしでダイレクトI/Oで動かすことができます。AZシリーズ/AZシリーズ搭載電動アクチュエータと接続でき、垂直多関節、水平多関節(スカラ)、直交、当社関連会社が製作しているORIM VEXTAロボから制御するロボットタイプを選ぶことができるようになっています。

設定・プログラムのための専用ソフトMRC Studioは初心者にも分かりやすいユーザーインターフェイスで、専門知識がなくても、ウィザード形式で設定・プログラミングすることが可能です。無償でダウンロードして使え、設定しやすく使いやすいと非常に好評です」(山越)。MRC Studioは提供開始から1年も経っていませんが、量産ラインで採用が決まった例も出てきています。ある医療機器メーカーでは操作性を評価いただき、MRC Studioでプログラムした直交ロボットがワークの搬送に導入されることになりました。
100万円以下で導入可能なロボットの内製事例を公開
最近では、ロボット内製の経験がないお客様からの実現可能性やシステム構成、価格、大きさなど具体的な内容を尋ねられることが増えてきました。そこで、オリエンタルモーターでは実際の製造現場で使われている工程間搬送用スカラロボット(水平多関節ロボット)、AGV、ねじ締め装置、ワーク処理装置(直交ロボット・昇降旋回ユニット)、ワーク昇降装置、多品種パーツ供給装置の構造やシステム構成などの内製事例をウェブサイト上に公開、製品選定のポイントも解説しています。「いずれも電装含め100万円以下で導入できるロボットで、図面やシステム構成、費用を公表しています。初期投資額で二の足を踏むお客様もいらっしゃいますが、定価で100万円以下というのが一つの目安になって、『これならできそうだ!』と考えていただけます」(山越)。
工程間のわずかな距離の搬送など単純な動きを低コストで自動化したいと考えている企業の方はぜひともオリエンタルモーターにご相談ください。小型で簡単に制御できる内製ロボット実現を可能にする製品、サービスを用意しています。

製品選定段階から装置設計をサポート
- 専任スタッフがお客様に代わってモーターを選定します。
- 当社内製装置の仕様や外形寸法に関する資料をご用意しています。
詳細は電話、またはWEBからお問い合わせください。